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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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出陣前の演説

それからの私は、準備に奔走していた。


集まってきた傭兵達をまとめ、

軍として再編成した。


そして付け焼刃ではあるが、

連携訓練も行っていた。


「各個人でバラバラに戦ってしまうと、

 連携した貴族軍相手では、

 各個に撃破されてしまいます。


 よって、規律を重視し、指揮命令系統を整え、

 軍団としてまとまって、

 戦力の集中運用をする事こそが、

 大規模な戦争で勝てる方法なのです」


私はこのように、

口を酸っぱくして繰り返していた。


実例として、

ガイン自由都市軍の見事な連携を見せる事で、

納得してくれた傭兵も多かったようだ。


こうして半年後には、

反乱軍が何とか形になっていた。


そして今日。いよいよ出陣の日が来た。


ユキムラから総大将に任命された私は、

集結した反乱軍の全軍を前に、演説を始める。


ずっと一人で考えていた内容を、

マイクとスピーカーを無視するような大声で、

熱く語りかける。


まず最初に、平民に新しい名前を与える。


「皆さん!

 私達はもはや、平民ではありません!


 私達は『市民』です!!


 平民等という名前は、

 傲慢な貴族達が私達を見下すための言葉です!


 そんなくだらない名前は、

 さっさと投げ捨ててしまいましょう!


 私達は貴族達に、

 声も高らかに宣言しましょう!


 我々はもはや! 平民ではないと!

 『市民』であると!!」


市民の軍隊である反乱軍にも、

新しい名前を与える。


「貴族達が、

 我々『市民』のための軍隊を見下すための、

 反乱軍の名前も返上しましょう!


 私達は! 解放軍であると!!


 後、もう一歩です!


 愚かな貴族達の圧政に苦しむ、

 我らの同胞である『市民』達を!


 我ら! 解放軍の手で! 解放しましょう!!」


そして、最終目標を伝える。


「私は皆さんに約束します!

 思いあがったリスティン王国を!

 打倒した! その暁には!!


 私は!

 『市民』の!

 『市民』による!

 『市民』のための国家を!

 必ず樹立して見せます!!」


リンカーンの有名な演説の丸パクリである。

人民を市民に、政治を国家に、

それぞれ置き換えただけである。


演説の最後に、

解放軍による戦争にも、新しい名前を与える。


「さぁ! 出陣です!

 我ら解放軍の!

 最初で最後の!

 聖戦を始めましょう!!」


演説が進むにつれて静まり返る会場。


しばらくはシーンとしていたが、

少しずつ歓声が大きくなり、

やがては大地が悲鳴を上げるほどの、

地響きとなる。


この演説は、

歴史に残る名演説として高く評価され、

やがて書籍として出版される事になる。


(細工は流流仕上げを御覧じろ。ですね)


さあ、聖戦の始まりだ。

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