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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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空は飛べました

ぱらしゅーとの有効利用を考えた私であったが、

結論はすぐに得られた。


「やはり、空飛ぶ乗り物の開発でしょうね」


具体的な開発目標もすぐに決定する。


「一番単純な、『熱気球』を開発しましょう」


研究を開始してみると、

ぱらしゅーとよりも順調に進んだ。


熱気球で移動する事を考えるのであれば、

いろいろと、

関連技術も開発しないといけないのだろうが、

今回は観光利用を前提にしている。


そのため、

ロープで位置を固定して浮かび上がるだけなので、

1年ほど研究を続けると形になっていた。


熱源は火の魔道具の改良版を使っている。


物理的な熱源であれば、

燃料も積み込む必要がある。


しかし、魔道具形式であれば、

魔石一つで大きな火が出せるため、

その分軽量化が可能になっていた。


試験飛行を十分に繰り返し、

いよいよ一般公開を考え始めた頃。


私は島の里へと魔力ジドウシャを走らせていた。


この世で最初に共に空を飛びたい相手は、

最初から決まり切っていた。


そのため、私は愛しの人を迎えに出かけたのだ。


「ぜひとも、

 クリスさんに見せたい景色がありますので、

 ガイン自由都市まで同行いただけませんか?」


私はそうお願いし、二人で帰路に就いた。


ちなみに、帰りの運転手は、

本人たっての希望でクリスさんにお願いしている。


ガイン自由都市に到着したクリスさんには、

まず最初にぱらしゅーとの使い方の講習を、

みっちりと受けてもらっていた。


「これをしませんと、

 万が一の時はかなり危険になりますので」


彼女はせっかくのデートの時間が減ると、

最初は不満たらたらであったが、

私自身が講師となると、

とたんに機嫌が直っていた。


そして今日。

ようやく二人で乗り込んで、空の旅を楽しむ。


「どうですか? クリスさん。

 私は他の誰でもなく、あなたと二人で、

 この景色を一番最初に共有したかったのです」


私が心の内を正直に述べると、

クリスさんは目を輝かせながら返答する。


「ヒデオ様……。

 私はいろいろな意味で、

 感動しすぎて泣いてしまいそうです」


感動で打ち震えている様子の彼女を見て、

私は思わずそっと肩を抱き寄せ、

触れ合いながら空からの眺めをしばらく楽しんだ。


この後、熱キキュウは一般公開され、

ガイン自由都市の新たな観光資源となっていた。


今では、観光の目玉として扱われている。


安全性を確保するため、

専門の訓練を受けた搭乗員が、

同乗する決まりである。


また、必ずぱらしゅーとの使い方の、

講習を受けた人しか乗れないという制限も、

決まっていた。


それでも連日の大盛況であった。


「波及効果も考えれば、

 税収もかなり増加しそうですね」


官僚達とそんな会話をしながら、

私は日々の業務をこなすのであった。

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