表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先祖返りの町作り  作者: 熊八


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

182/230

魔石不足

蒸気機関の研究は、

ゆっくりとだが着実に進んでいた。


現在では、複数のシリンダーを連結した模型で、

実験が続いてる。


後はこれを徐々に大型化させ、

機関車に搭載できるように応用させるのが、

今後の目標である。


その一方で、ガイン自由都市では、

魔力もーたーの利用が進んでいた。


その影響で、魔石の需要が急拡大し、

価格の高騰が続いている。


中でも多くの魔力を含んでいる大型の魔石は、

需要が高く、不足が目立つようになっていた。


小型で大量の魔力を含む、

森の里で産出している魔石にいたっては、

もはや天井知らずと言って良いほど、

価値が上昇し続けている。


それらの要因により、

これまでは使い捨てにしていた、

魔石を回収する業者が現れるようになり、

再利用が進んでいる。


魔力の充填ができる、

少し多めの魔力持ちにとっては、

簡単に稼げる仕事が増えた。


ただ、ある程度以上魔力密度を高める事が、

ヒム族にとっては難しかったため、

低い密度で多くの魔力を込めることができる、

大型の魔石に人気が集まっている。


ヒム族でも、何日かに分けて充填すれば、

多くの魔力が込められたからだ。


再利用が進んだとはいえ、

まだまだ魔石の不足が目立っており、

領主館で議題になるほど問題化し始めていた。


その席で領主のイサミが、

私に相談を持ち掛けていた。


「大おじい様。森の隠れ里の皆さんに、

 もっと魔石を作って欲しいとお願いする事は、

 できませんか?」


私はしばらく考え、否定的な意見を述べる。


「お願いすれば、

 いくらかは増産してくれるでしょう。


 ですが、あなたも知っての通り、

 里の皆は無欲ですから、

 不足が解消できるほど大量生産してもらうのは、

 ちょっと難しいでしょうね」


私の結論を聞いた官僚達の間から、

ため息がこぼれる。


私は顎に手を当ててしばらく考え、

解決策を提案する。


「そうだ。クリスさんの里の皆に、

 お願いしてみてはどうでしょうか。


 あの里には鉄製品がありませんから、

 それと交換してもらう事を条件に、

 なんとか交渉してみましょう。


 ただ、あの島にはあまり魔物がいませんから、

 魔石はこちらから持ち込む必要がありますが」


イサミが皆を代表して、私に交渉を託す。


「それは良いアイデアです。

 その方向で大おじい様に交渉を、

 お願いしてもかまいませんか?」


私は大きく頷き、了承の意を伝える。


「ええ、もちろん。

 仕事を理由に堂々と恋人に会ってきますので、

 ちょっと日程に余裕さえもらえれば、

 喜んで飛んで行きますよ?」


私が大真面目な顔でそうのろけると、

少し笑いが起こった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ