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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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いつか、遠い未来で

それから瞬く間に4年の歳月が流れた頃。


昨年、リョウマが天へと旅立っていた。


そして今年に入ると、

フィーナとティータが相次いで旅立っていった。


どこまでも仲の良い姉妹である。


私は今回も、笑顔で見送る事に成功していた。


しかし家族達は皆、

旅立っていったリョウマ達ではなく、

私を見て涙を流していた。


なんでも私の笑顔での見送りは、

「大おじい様の微笑み」と呼ばれているらしい。


一族のものであれば涙を流さずにはいられないと、

そう言われるほど悲しいシーンとして、

有名なのだそうだ。


それを聞いた事もあり、

私は少なくとも、表面上は落ち込んだ様子を、

なるべく見せないように努力していたつもりだ。


しかし、子孫達はそんな私を見かけるたびに、


「泣いてしまっても、別に構わないのですよ?」


と、優しく諭してくれる。


しかし、これはエストと交わした大切な約束だ。

既に対価ももらっている。


私は何があっても、

この約束をたがえるつもりはない。


最近になってようやく、

私はこの長い長い寿命の、

本当の意味を理解していた。


エストの旅立ちを知った時の祭司長が、


『これじゃから、先祖返りの長すぎる寿命は、

 呪いの類じゃというのじゃ』


と、吐き捨てた気持ちが、

身に染みて理解できるようになっていた。


しかし、なればこそ、

私は家族と交わした約束だけは、

どうあっても守り通したい。


この長すぎる旅路も、いつか必ず終わる時が来る。


その時こそ、天国でなつかしい家族達と再会し、

私はこう自慢するのだ。


「どうです? 私はちゃんと生き抜きましたよ?


 あなた達との約束も、思い出も、

 全部大切にして最期まで頑張り通しました。


 ですから、少しだけでいいのです。

 私を褒めてくださいね?」


そのためにも、私は落ち込んではいられない。

私は次第に、仕事に没頭するようになっていった。

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