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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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170/230

八代目の子孫達

また更に1年の歳月を重ねた頃。


拡大を続けたガイン自由都市は、

かつてレオンさんが提案した街壁を超えて、

街並みが広がっていた。


そのため、現在ではそのさらに外側に、

新たな街壁を建設中である。


最初に作られた内側の街壁が第一街壁、

外側に建設中のものが第二街壁と呼ばれている。


この都市の中心に存在する領主館の近くが、

一等地として扱われており、

領民達にとっては、

第一街壁の内側に居を構える事が、

一種のステータスとして扱われている模様だ。


そしてこの頃、

リリアさんとシズカが相次いで出産していた。


イサミの最初の子供は女の子で、

セリアと命名された。


黒髪に青い瞳の、しずしずとおとなしく泣く、

両親に似てどこか利発そうな雰囲気のある、

玉のような赤ちゃんだ。


私はそっとセリアを抱きかかえながら、

この子の将来の心配を始める。


「生まれたばかりで、

 これほどのかわいらしさなのです。


 これはきっと、

 成長したら男性達はセリアを巡って、

 壮絶な争奪戦を始めるに違いありませんね」


そんな私の発言を聞いて、

イサミがクスクスと笑いながら感想を述べる。


「大おじい様。こんなに早くから、

 大じじバカな発言をしていると、

 周囲に笑われてしまいますよ?」


私はそのツッコミに反論を加える。


「でも、イサミ。

 セリアが可愛過ぎるのは事実でしょう?」


「ええ。もちろん。

 この子は当分の間、誰にも嫁にやりません」


その発言を聞いて、

今度はリリアさんがクスクスと笑いだす。


「あなた。全く人の事は言えませんよ?

 もう既に、かなりの親バカぶりです」


私とイサミは思わず顔を見合わせ、

しばらくしてから同時に破顔していた。


一方、シズカの最初の子供は男の子で、

ザレスと名付けられていた。


お父さんのザインさんの名前から、

一文字拝借したらしい。


金髪に緑の瞳の、元気に泣き叫ぶ、

少しやんちゃそうな赤ちゃんだ。


愛おしそうに我が子を抱くシズカを見て、


(あの元気に駆け回っていたかわいいシズカも、

 母親になったのですね)


と、そんな感想を抱いていた。


しかし、我が子の長所を褒めるその視点は、

やはり武人のそれであった。


「あなた。この子は既にこんなに元気に泣くほど、

 体力が有り余っているようですし、

 骨組みもあなたに似てがっしりとしています。


 この子は、将来はあなた以上の、

 立派な戦士になりそうですね」


立派なガタイをしているザインさんは、

シズカよりもむしろ家庭的であったようで、

別の視点で自分の息子の将来を語る。


「別に無理に戦士にしなくてもいいさ。

 この子の望むままの職業に就けるように、

 これから大事に育てていけばね」


この子達や、そのさらに子供達が、

より豊かで幸福な人生が送れるように、

私はこれからも責任をもって頑張ろうと、

決意を新たにした日であった。

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