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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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にとろ化合物

焚書が行われた報告を受けた私は、

すぐに領主の執務室を飛び出し、

その足でダイガクの研究室へと向かった。


部屋に到着した私は、早速具体案の検討に入る。


愚かな貴族に鉄槌を下す意味でも、

軍備の増強は急務である。


しかし、常備軍であるガイン自由都市軍は、

とても金食い虫だ。


軍隊という組織は必須ではあるが、

生産性という意味では皆無である。


ただ消費するだけの集団なので、

経済的な負担を考えると、

そう大規模には拡充できない。


「となると、質を上げるしかない訳ですが……」


既に国一番の精鋭となっている、

ガイン自由都市軍をこれ以上鍛えるのは、

現実的ではない上に効率も悪い。


「やはり、新しい武器が必要ですね。

 えあがんよりも強力なやつが……」


しばらく考えを巡らせ、結論に至る。


「どう考えても、『火薬』しかないでしょうね」


火薬があれば、単純に使っても、

手りゅう弾やダイナマイトが作れるし、

もっと開発を進めれば大砲も作れるようになる。


りゅう弾砲と呼ばれる大砲を作れば、

面制圧も可能になる。


つまり、りゅう弾砲の数をそろえると、

貴族軍のいる辺り一帯を、

まとめて薙ぎ払って更地にする事も容易だ。


私は焚書等という蛮行を、

臆面もなく実行できる相手にかける慈悲は、

砂粒ほども持ち合わせていない。


「『火薬』の歴史をたどるのであれば、

 『黒色火薬』から始めるべきでしょうが……」


残念ながら、

私はその具体的な作り方を全く知らない。


しばらく考え、もっと良い方法を思い付く。


「いっその事、『硝酸』を作って、

 『ニトロ』化合物を作りましょう」


ニトロ化合物は、

燃焼させると急激に体積が膨張するため、

高性能火薬として広く使われている。


有名なTNT火薬やニトログリセリンも、

ニトロ化合物の一種である。


そしてそれらは、

硝酸さえあれば比較的容易に作成できるはずだ。


「ただこの技術は、

 欠片も他の貴族には渡せませんから、

 法整備も必要ですね」


日本でも、

硝酸の管理には厳しい手順が義務付けられている。


生産、保管、使用の各段階で数量を厳密に管理し、

保管場所にも規定がある徹底ぶりである。


また、危険物取扱の一級免許がなければ、

そもそも入手すらできなかったはずだ。


免許制度も含めた法整備を、

早急に行う必要があるだろう。


私はこれらの下準備を順番に書き出し、

入念に進めていくのであった。

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