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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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四代目領主シゲル

リズの誕生から、1年が過ぎた頃。


既に55歳になっていたエストは、

領主を引退する事を決意した。


「本当は、もう少し早く、

 引退したかったのですよ?」


エストはそう言って、微笑みながら、

その心の内を語ってくれた。


それによると、まだ孫達が小さかったため、

せめて、カズシゲがもう少し、

手がかからなくなるまではと、

頑張っていたらしい。


そんな父親に、

シゲルがねぎらいの言葉をかける。


「お父様。今まで本当にお疲れ様でした。


 今後は私が領主として、

 妻のクレアと共に頑張りますので、

 ゆっくりと休んでください」


そんな息子に、

エストは優しく家訓を語る。


「シゲル。

 私があなたのおじい様から、

 領主を引き継ぐ時に伝えられた言葉を、

 そのまま伝えます。


 ガイン家の新たな家訓として、

 代々伝えてくださいね」


そう言って、かつてエルクが、

エストに伝えたのと同じ言葉を、

今度はシゲルに伝える。


「いいですか、シゲル。


 ふんぞり返っているだけの、

 他の貴族達の言葉は、

 聞かなくても良いですが、

 税金を納めてくれる、

 領民達の話には、良く耳を傾けなさい」


シゲルは真剣なまなざしで、

その言葉を聞き、ある質問を投げかける。


「その時、お父様はなんと応えたのですか?」


「私にもおじい様の教えは、

 ちゃんと受け継がれていますよと、

 応えました。


 そして、困った時は、

 物知りのおじい様に相談しますので、

 心配ありませんよとも、

 言いましたね」


シゲルは頷いて、領主としての抱負を語る。


「私もそう思います。

 これからは、私が領主として、

 この平民の首都を、

 さらに発展させていきたいと思います。


 ひいおじい様、

 いろいろと相談する事になると思いますが、

 助けてもらえますか?」


私は大きく頷いて、それに返答する。


「もちろんです。

 私も全力でサポートしますので、

 カズシゲが後を継ぐ頃には、

 もっと大きな都市にしてみせましょう」


私は続けて、エストにねぎらいの言葉をかける。


「エスト。お疲れ様でした。


 今後はのんびりと、

 隠居生活を楽しんでください」


「ですが、おじい様。

 正直な所、

 これからの時間のつぶし方をどうしようかと、

 私は悩んでいるのです」


「孫達と遊んで暮らせば、

 良いのではないでしょうか。


 とても楽しいですよ?

 エストが小さい頃の、私がそうでしたから」


私がそう言うと、

エストはクスクスと笑いながら、

それに応えた。


「私ももう、隠居する程の年なのですが、

 おじい様にとっては、

 まだまだ小さい孫ですか?」


私もクスクスと笑いながら、

その心境を語る。


「ええ。もちろん。

 例えエストが100歳になったとしても、

 私にとっては、かわいい孫ですからね」


そうやって、家族で朗らかに微笑み合いながら、

シゲルは新領主へと就任した。

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