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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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合金の完成

ガイン警備隊の設立から、2年ほどが経過した頃。

ようやく、金色の粉を混ぜ込んだ合金が完成した。


トッキョ庁の設立準備や、

ガイン警備隊の編制や訓練等、

かなり忙しかったが、

なんとか時間を作って研究を継続していた。


この合金は、鉄と金色の粉を基本とし、

適量のすずと銅、そして少量の銀を配合する事で、

魔法銀よりもわずかに伝導率が低い程度になり、

十分に実用に耐えるものになっていた。


合金開発成功のニュースは、

驚愕をもって魔道具業界に流れていたが、

その価格を巡って、

弟子達からの猛反発を受けた。


私の原価計算によれば、1/5以下程度にまで、

価格を抑えられるとはじき出したが、

これは弟子達にとっては、

到底受け入れられない金額だったようだ。


価格決定会議の場で、従業員を代表して、

副工房長のワントが意見を述べる。


「1/5という価格にしてしまいやすと、

 他の工房で魔道具が売れなくなってしまいやす。

 初代様は、

 他の全ての工房をつぶすつもりでやすか?」


「そんなつもりはありません」


「ですが、その価格にすると、起こりえやすぜ。

 それとも、

 この都市の全ての職人を雇用しやすか?」


そういう事も考えなくてはならないのかと、

気付いた私は、黙ってワントに説明の続きを促す。


「そうなってしまえば、我が工房は、

 初代様のおっしゃっていた、

 独占企業になりやす。


 それは、常々初代様の主張しておられる、

 競争原理から外れた事態に、

 なりはしやせんか?」


「では、ワントは、

 どのくらいが適正価格だと考えていますか?」


「7割ぐらいでやしょうね」


さすがに、それはぼったくり過ぎだと考えた私は、

もう少し値引きできないかと、

弟子達を中心とした経営陣達と、

喧々囂々の議論を重ねた。


そして、ようやく決まった価格は、

現行の半額と決まった。


ワント達の説明によると、

これはギリギリの譲歩だそうだ。


これ以上安価にしてしまうと、

どうせ転売屋が利益を出すだけになり、

価格を下げる意味がないと説明を受けた。


そうして、しばらくして発売された、

新価格での魔道具は、飛ぶように売れていった。


すぐに生産が間に合わなくなり、

レイゾウコの時のように、予約生産制に移行した。


しかし、それでも予約が積みあがっていき、

気が付けば、

2年先まで予約でびっしりになっていた。


弟子達は、工房の規模をさらに拡大すべきだと、

主張していたが、私は、

これ以上ヒデオ工房だけが大きくなってしまうと、

競争が生まれにくくなると説明し、

あえて生産量を抑えていく方針を決定した。

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