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18 画策の行方



 無理だ~無理です~。令嬢教育受けていません~。身支度を整える部屋で、女官さんに恥を偲んで貴族令嬢の礼の仕方をならって、髪を結っている間に口上とか作法とか習って……無理です。私には無理です~そっちに並びたい!お仕着せを着たいです!時間がないから制服のままだけど。――ちなみにこの制服は前世でいうブレザータイプ。中はブラウス。スカートはロング。さすがにチェック柄ではない。ブツブツ言ってたらくすくす笑われてしまった。嫌な笑い方ではなかった。



 隣の部屋に行くと、ジーク様が笑顔で立っていた。制服のままなのに髪をセットして笑ってるだけでキラキラ。私は、キラキラ王子達を思い出して、思わず顔をしかめてしまったようだ。



「君は……オデットはこういう髪は嫌いか?」


「申し訳ございません。つい、学園での王子殿下達のキラキラ振りと影響力について思い出しておりました。――あれ?そういえばジーク様は一体ど」


「それよりオデット!眼鏡はどうした?」


「あ、はい。変装眼鏡ですので、むしろかけると遠くが見えません。謁見の間は広いからと侍女さんに外すよう助言いただきました。」


「なぜ変装?自分の瞳のことは気付いてなかったのだろ?」


「――目立ちたくなかったので。前髪と眼鏡と三つ編みで存在感を消していました。」


「そうか……。では行こう。」



 てっきり謁見の間に行くのだと思っていたら、着いたところは応接室の様な部屋だった。



「お父様!」


「あぁオデット。元気そうでよかった。」


「何故ここに?家を空けると、お義母様が……」


「僕がお呼びしたんだ。――子爵、オデット嬢と結婚させていただきたい。必ず幸せにすると誓います。」


「――オデット。お前はジークフリート様となら幸せになれるのかい?」


「はい。そのように思います。――ずっと、結婚はしなくていいと思っていましたが、ジークフリート様とならと。」


「であれば、反対する理由もない。お前にはずっと苦労をかけたが、もう嫌な思いはさせないよ。何も気にせずお嫁に行きなさい。」


「?――はい。ありがとうございます、お父様。」


「義父上、ではまず婚約の手続きをこちらで。」



 ジーク様の気が早い呼びかけにタジタジしながらお父様がサインしていくと、「国王陛下のおなりである~」と声がかかったので、慌てて皆で礼をとる。衣擦れとともにソファに座られ、お付きの方々が配置に着いた気配がする。「皆、頭を上げてかけなさい。これから家族になるというのに堅苦しいのは抜きだ」と言ってくださる。顔を上げると多分国王陛下と、その隣にドロッセルマイヤー先生が座っていた???声を上げなかったのは奇跡だ。



「そなたがオデットか。うむ、可愛いではないか。子爵夫人に似たのだな。フリッツ!そなたも久しいな。」



 驚き過ぎて声も出なかったが、慌ててご挨拶をすると、お父様も「ご無沙汰いたしております」と挨拶する。面識あるの??



「オデットは随分と驚いているようだが、もしやフリッツが昔近衛だったことは言ってないのか?」


「はい。過ぎたことですので。それに恐らく驚いているのは私のことだけでなくお隣りの……」



 近衛なんて聞いてませんでした。ヒラ騎士じゃなかったの?何もかも聞いてない!!でも驚いた顔とかしちゃだめだった。淑女はポーカーフェイスに微笑を装備しないと!リラ様を見習って、一度目を閉じ息を吐いて、仮面を装・着!



「ほう。立て直したな。だがそなたの事情は聞いている。無理せず自然にしていなさい。」


「ありがとう存じます。」


「では婚約の書類にサインしよう」


「えっ?」



 しまった!慌てて口を押さえるけど、どういうこと?どうして陛下が……。もはや涙目になりながらジーク様を見る。



「父上、サインは終わりましたか?うん、ここまで来たら逃げられない。オデットは気付いてなかったみたいだけど、僕は第一王子なんだ。」





 ――ちーん……終了のお知らせ入りました。意識をシャットダウンします……





 

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