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第一王子のモノローグ

 私はこの国の王の子であるスティーブン・アルスランだ。

王妃を母に持ち、王の第一子であるから第一王子である。

この間、立太子の儀を終えて正式な跡継ぎとして認められたのだが、私の代には問題を起こす貴族が多いのが悩みの種だ。

しかも上位貴族ばかりだから王家主催の催し物には必ず出席することになる。

招待状を送らないというわけにもいかず、だからといって排斥できるほどの重大なことをしないから邪険にもできずに本当に悩みの種だ。


 何とか三年間の学院生活の最終年度になったというのに、ややこしい者が増えている。

本当に貴族たちは何をしているのだと心底思う。

貴族同士の結婚は家の繋がりや政略の意味が強いから心から愛する者とは愛人関係になることが多いというより常識というような感じだ。

身分や財力が上の者が下の者の衣食住などを保証するというのが暗黙の了解であるというのにブリズム公爵は怠った。


 愛人の身分や血筋は問わないが、向こうから「貴方の娘よ」とやって来られるのは体裁が悪すぎる。

しかも愛人自身は病で亡くなっており、さらに娘に至っては公爵の面影を一切受け継いでいないため信憑性に欠ける。

公爵の奥方もあまりの無責任さに呆れてしまい離縁を考えているというではないか。

奥方は元は伯爵家で魔女の能力は無いもののマジョリデ家の出身だ。

ルーシーから見れば叔母と姪の関係になる。


 伯爵家ではあるもののマジョリデ家と縁戚関係になりたいという貴族は多い。

ブリズム公爵と離縁しても奥方には掃いて捨てるほどの再婚話が持ち上がるだろう。

とまぁお家事情はいいのだが、ブリズム公爵家も問題だが、目下の問題は目の前の婚約破棄騒動だ。


 パルミエール公爵家のマリーナとモテニュー公爵家のエチャードが婚約を破棄すると騒いでいる。

幼馴染であり気安く話せる貴重な二人だが、ものすごく面倒だ。

生まれたときから決まっていたような婚約だったが、本当に嫌なら両家の親に先に話をしてくれたら王家からも口添えくらいはできる。

なぜ、このガーデンパーティを選んでくれる?

問題が起きたら主催者の責任になるというのに、だ。


 あぁしかも側室の子である第二王子まで参戦してどうするよ。

あれが異母弟であるとは思いたくないのだが、父上はアレが可愛くて仕方ないみたいだな。

それもそうだと、この年になって分かる。

政略結婚で生まれたときから決まっていた王妃よりも成人してから自分で選んだ女の方が愛おしく、その子の方が可愛いということだろう。

表立っては言っていないが父上は王座を奪う私のことが気に食わないようだ。

奪うも何も父上が死んだ後に戴冠するというのに強欲なことだ。


 どうして私の周りには一癖も二癖もある面倒な者しかいないのだろうな。

一応、主催者として、幼馴染として婚約破棄も婚約締結も認めてやったが、今まで被害者のように振る舞っていた公爵家の庶子だというミモザ嬢から何か助けを求めるような目を向けられたのだが、間違ったか?

エチャードと愛し合っているというから相思相愛だと思ったのだが、違ったのか?

まぁだとしても貴族には愛のない政略結婚というものもあるし、エチャードが認めれば愛人の一人や二人は囲えるだろう。

囲えたらの話だが、よく分からない女だ。


 そして、本当に面倒だ。

教会で贅沢三昧をしているはずの聖女様がなぜが学院に護衛もつけずに来た。

ドレスが欲しい、宝石が欲しい、男が欲しい、そんな願いくらいなら教会の奥でひっそりと叶えられるというのに。

なんせ聖女様は水晶とダイヤモンドの違いもルビーとサファイアの違いも見抜けないほどの目利きしかない。

ダイヤモンドが欲しいと言われたらガラスをそれらしくカット加工すれば喜ぶ。

本物でなくて良いなら子どもの小遣いくらいで済む。

ドレスもフリルやレースが使われていれば布の良し悪しが分からない。


 適当な扱いをすれば未来視をしないと脅してくる。

今まで真面(まとも)な未来視をしたことないだろうに、そんな脅しに振り回されるとは情けない。

あんなのが私の代の聖女様だというのは本当に面倒だ。

過去には何とか悲惨な未来を変えようと努力なさった聖女様がいたというのに、爪の垢を煎じて飲むといい。


 あぁようやく教会の人間が来たか。

しっかりと監視しておいて欲しいものだ。

父上の代の聖女様は病に倒れて儚くなってしまわれたが、文字通り聖女のような方で疫病の蔓延で国の半分の民が亡くなるところを救ってくださった。

私のことも親戚の子に対するような気さくさはあったものの可愛がってくださった。

本当に惜しい方を亡くしてしまった。

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