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 体が痛い。肩とか肘とかが痛い。背中も痛いし、って誰か僕の背中をっ!?

 いきなり覚醒して、両手で地面を押して上体を起こす。目の前には爺さんがいて、僕をのぞき込んでいた。

「( ̄ー ̄?)??(・_・*)(*・_・)(*~^~)/??....?」

「あ?」

 僕が聞き直すと、爺さんが怪訝な顔をしてもう一度同じ言葉を繰り返した。

 って、いやいやいや、何語よ。ここイタリアじゃないっけ? イタリア語少し勉強してきたけど、明らかに違う響きがするけど。

 訛り?

「Mi scusi, per favore, di nuovo 」(すみません、もう一度言ってください)

「(゜ー゜?)(。_。?)(゜-゜?)(。_。?) (・-・)・・・?」

 うん、イタリア語通じてないじゃーん! そんなに田舎なのか、この村? いや、いくらなんでも、このくらいのイタリア語が通じてないって、おかしいだろうが。

 まいったな・・・

 しかし爺さんはいい人そうだった。

 僕の頬を指さしながらうんうん頷いて、そんで僕の手をとって立たせてくれた。

「σ("ε";) !(σ-"-)σ」

 そう言いながら、おいでおいでをしている。ついて行って良いだろうか。でも、ついて行くしかない。知らない土地、通じない言葉。それに、痛む足腰。

 気持ちが落ち着かない。この爺さんだけが頼りだ。遅れないように、痛む足を引きずりながらついて行った。

 木々の間を少し歩くと、しばらくして森から抜けた。それから小川に沿って歩くこと5分くらいだろうか。木でできた家がいくつか見えてきた。村というか集落? ちょっと昔の高床式の日本家屋みたいなのがいくつかあって……って、イタリアか!?

 僕がきょろきょろしていると、爺さんはいきなり小川にドブンと入り、バシャバシャと小川の中を歩いた。足首くらいまでしか水がないとはいえ、何? なんなの? 2,3メートルくらい水の中を歩くと爺さんはまた道に戻ってきて、近くの家の階段を上り始めた。

 爺さんはサンダル履きだということに今気づいたが、そのまま家の外階段を上り、扉を開いて入っていった。慌てて爺さんの後に階段を上り、玄関に入ると爺さんはサンダルを脱いで手ぬぐいのようなもので足を拭いているところだった。

 もしかして、足を洗ったのかな。ごく自然な流れのように感じたけれど、これってこの地域の風習なんだろうか。

 日本のように靴を脱いで家に上がるスタイルのようなので、僕も靴を脱ぐ。そのまま上がろうとすると爺さんに靴下を指さされた。

「あ、はいはい」

 よくわからないが、一応靴下も脱いでおこう。爺さんも裸足だし。


 家の中は畳敷きのような、植物を編んだ床でできていて裸足の足の裏が気持ちいい。家の中心に中庭があって、光を取り込めるようになっていて、その周囲に部屋がいくつか配置されているようだった。そのうちの一番手前の部屋が多分居間なのだろう。大きな机があって、そこに座るように示された。

 ていうか、電気がないね。

 暗くはないけどさ。

 爺さんは僕の前に座ると、何か軟膏のようなものを僕の頬に塗った。手当をしてくれるんだ。自分の顔に傷があるなんて知らなかったけれど、どうやら擦りむいていたらしい。

「いちっ」

 痛くて顔をしかめると、爺さんはふうと息を吹きかけてくれた。

「(´- `*)"ヘ(´ρ `ヘ)?」

「(´- `*)"ヘ(´ρ `ヘ)?」

 爺さんが言った言葉を真似すると、爺さんは

「(^-^ )ヘヘ(^o^ )」と言い直した。

 あー、あー、うん、なるほど。

「(^-^ )ヘヘ(^o^ )」

 と、僕が言うと爺さんはうんうんと頷いた。

 言葉の習得はこうやってするものだ。人間の本能とでもいうのだろうか、たとえこんな爺さんでも、僕に無意識に言葉を教えてくれる。それは僕が相手の言葉をつたないながらに真似たとき、使い方や発音が合っていれば頷いてくれるし、違っていれば正しい言葉を教えてくれる。きっと今、爺さんが言い直した言葉は僕が言うべき言葉だったのだろう。「(^-^ )ヘヘ(^o^ )」というのは、痛いとかひりひりするとかそういう意味なんじゃないだろうか。


 とりあえず、爺さんは僕の頬の擦り傷の治療をしてくれた。おかげでやっと少しホッとした。知らないところでも親切な人はいるもんだ。なぜか言葉が通じないけれど、ここはどこなんだろうか。



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