問題発生
「なにかあったのかい、イリーシス」
「ええ、ですが……そうですね。マリーさんは一緒に話を聞いてください。モーティマさんは申し訳ないのですが、ご退出ください」
「ああ!? なんだよそれ。気になるじゃねえか」
「気になるという理由だけで、お話出来ない内容があることは、ご理解頂けますね?」
「……ちっ。下で待ってる。話が終わったら来てくれよ」
「うん、わかった」
モーティマだけが部屋から出て行く。
モーティマだけを追いだして、なんの話があるんだろ。
「さて、ではそちらにお掛けください」
グリュエールとマリーが座ったのを確認してから、ギルド長が話しだした。
「グリュエールにはお願いがあります。マリーさんとウルさんにも関係のある話なので、一緒に聞いてください」
ギルド長の話は、マリーにとっても……そして僕にとっても衝撃的な話だった。
さっき部屋から出て行った冒険者は、ある依頼の報告の為にギルド長室へ来ていた。
その依頼は……テッド村を襲ったモンスターの調査。
テッド村は王国の最南端に位置する。テッド村より南には、森や山があり、山を越えると他国の領地になる。
一応、その山も王国の領地だけど、人が住めるような場所ではない為、王国の最南端にある村はテッド村だと思われていた。
そう。思われていただけだったんだ。
マリーの村を襲ったモンスターは、その森の中から出てきた。もし同じようなことがあれば村は壊滅しちゃうし、王国にも被害が出る。
だからそのモンスターがどこから来たのか、調査をしていたんだって。
そして、調査していた冒険者達は見つけたんだ。
一つの小さな村を。
ただ、その村には人が一人もいなかった。
でも、廃墟というわけでもなかった。
村人たちが生活していた痕跡があり、そこで生活していたであろう村人たちは、村を捨ててどこかへ逃げたように見えたらしい。
「なので、グリュエールにはその村の調査をお願いしたいのです」
「なるほどね。もしかしたら帝国の人間がそこでなにかしていたかもしれないと」
今、僕達がいるここはストルンブルグ王国の王都。
ストルンブルグ王国は大陸の北部にあり、山々に囲まれている。
王国の南にはハイドゥラ帝国という国があり、王国とはあまり仲が良くないらしい。
だからグリュエールは、王国の南部に村が作られていたって聞いたら、帝国の仕業だって思ったみたい。
でも……
「いえ、これも調査に向かった者からの報告なのですが……もしかしたら魔族がいたのかもしれないと」
「魔族!? 魔族のみんながいたの!?」
逃げて無事だった人がいたんだ!
だれか生き残ってるんだ!
「ウルさん、落ち着いてください。まだ可能性の話です」
落ち着けって……
無理だよ。だって……だって!!
「なんで魔族の村かもしれないって考えたんだい?」
「グリュエールは知っていると思いますが、魔族は先祖の遺骨を部屋に飾る習慣があります。そして、魔族には角がある為、頭蓋骨を見ればそれが魔族の骨なのか、人族の骨なのかが一目瞭然です」
「あったのかい? 頭蓋骨が」
「ええ、そうです。一つだけですが、頭蓋骨が残されていたらしいです」
「で、あたしに本当に魔族がいたのかどうか調べてほしいってわけかい」
「お願いできますか?」
「僕も行きたい! 僕を連れて行って!」
「ちょっと、ウル! あたしはまだ行くって返事してないんだけど」
「連れて行って! お願い!」
「はあ、全く……仕方ないね。行くよ。調べてきてあげる」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「あの……私は……?」
「マリーさんにも手伝ってもらえませんか? テッド村周辺のことなら、他の冒険者より詳しいと思いますし」
「はい! わかりました。村のことも心配ですし、やらせてください」
「ありがとうございます。今回の件は指名依頼という形で処理させて頂きます。それでは、詳細ですが……」
その後、ギルド長から詳細を聞いて、明日すぐに出発という話になった。
マリーはいつでも村へ帰れるように、荷物はまとめてあったっていうし、グリュエールの準備さえ出来れば問題なし!
……あれ? なにか忘れているような……




