マリーとギルド長
「答えなくても構いませんので、伺ってもよろしいですか?
それと、この部屋には防音の魔道具が設置されてますので、中での会話が漏れることはありません」
「……それなら、まあ」
「ありがとうございます。では、まず……マリーさんの使う魔法についてですね」
「……!!」
「先程話した通り、監視役の方から、マリーさんの魔法について聞いております」
「……はい」
「マリーさんは獣人ですよね?」
「……はい」
「獣人の方は魔法があまり得意ではないと認識していたのですが、そこに間違いはありませんか?」
「確かに、獣人に魔法が得意な人は少ないです……」
えっ!?
魔法を使ってる人を全然見なかったから、あまり考えてなかったけど……
獣人って魔法が苦手!?
それなのに、皆が大魔法なんていうような魔法使ったら……
「では、マリーさんはどこで魔法を? こちらで把握しているだけでも、土の壁を出し、複数の水の玉を出現させ、火の玉まで出したと報告がありました。あぁ、後半はモーティマさんの監視役からの報告でしたが」
「それは……」
「お話はして頂けない?」
「っ……はい……」
「わかりました。それではもう一つだけ、よろしいですか」
「はい……」
「その剣はどこで手に入れましたか?」
「えっ!? この剣……ですか?」
「はい」
マリーが僕を触りながら聞き返す。
僕の事? なんで僕のこと気にするの?
「この剣は……えっと……」
……言い辛いよね。ほとんど盗んだみたいなものだったし。
「それも言えませんか」
「……はい」
「……では、質問を変えさせてもらいますが、マリーさんの荷物はどうされました?」
「荷物……ですか?」
「はい、ダンジョンへ入る前は結構な大荷物だったと記憶しておりますが、今はその剣と腰についてるカバンだけですよね?」
「あ!」
あ!
僕の“アイテムボックス”の中に入れっぱなしだ!
「実は、監視役もダンジョンの中で待機していたのですが、マリーさんを見つけたときには既にその格好だったと報告が来ております」
「…………」
「入り口付近に置いてあるということもありませんでしたし……荷物はどうされましたか?」
「…………」
マリーが何も言えなくなっちゃってる!
口をパクパクと動かしてるけど、言葉は何もでてこない……
もうギルド長の方を見てないよ……
僕のせいでマリーを困らせちゃってる……?
「ここで話したことは誰にも言いませんよ。私はギルド長をやっておりますので、重大なことじゃなければ報告の義務などもありませんし」
「…………」
「それでも駄目ですか……わかりました。そうですね、それでは私も一つ正直に話しましょう」
その言葉を聞いて、マリーがギルド長に視線を戻し、首を傾げる。
正直にって、何を話すつもりなんだろ。
「私は『鑑定』持ちです」
「えっ!?」
「誰にも言わないでくださいね。かなりレアなスキルなので、知られると大変なのですよ」
「言いません! 絶対に!」
「ありがとうございます。それでですね、『鑑定』でその剣のことを見させてもらいました」
「えっ!!」
「その剣には、すごい量の魔力が詰められています。そのことはご存じでしたか?」
「いえ……詳しくは知りません……」
スキルって何? 『鑑定』って?
言葉の意味からすると……僕のこと調べられるってこと!?
どこまで調べられるんだろ?
魔法使えるのはわかってるのかな。
しゃべれるのは?
うーん……
「そうですか。その、魔剣:ウルを……」
「えっ!? 僕の名前……」
あ、悩んでるときに名前呼ばれて、つい声を出しちゃった……
「えっ!?」
マリーがビックリして僕を見てる。
「誰だ!」
ギルド長は立ち上がって部屋を見回してる。
えっと……どうしよう。




