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元魔王の剣  作者: 鵙来 蜜柑
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ねずみ

 えっと……もうすぐ森まで辿りつくんだけど。目の前に木があって。ねずみ達は真っ直ぐ進んでて。あれ? このままだとぶつかる? ねずみさん?


「しょっ、障害物よけながら進んで!」

「障害物よけながら進んで!」

「障害物よけながら進んで!」

「障害物よけながら進んで!」

「障害物よけながら進んで!」

 …………


 あぶなっ! 言われたことしかやらないみたいだね。

 でもちゃんと命令すればその通りに動いてくれるから、僕の命令次第。僕がちゃんとしてれば大丈夫!


 外に出たのも初めてだし、森に入ったのも初めて。どっちを向いても木! すごいなぁ、自然ってすごい。あ、お花が咲いてる。あ、蛇だ。蛇がこっちに向かってくる。

 蛇……ねずみ食べちゃう……?

 ダメだよ!? 僕のねずみ達!


「“アクアボール”!」


 直径三十cmくらいの水の玉が出現し、見事蛇に命中!

 ねずみ達は僕が守るからね!

 ねずみ達はどんどん進んでくれればいいからね!

 外には危険がいっぱい!

 だけど楽しいね。色々な物見れて、知らない場所へ行ける。

 どこまで行けばいいか、どこへ行けばいいかわからないけど、いつか誰かに会えると信じて。それまで初めての旅を楽しみながら行こう!




 お城を出発してからどれくらい経ったかな? まだ明るい時に出発したけど、もう周りは真っ暗。ねずみ達はずっと進んでくれてるけど……

 変わらない風景。その風景すら暗くて見え辛い。

 正直に言いましょう。

 飽きた。

 ずっと木ばっかりで飽きた。

 あとどれくらいでこの森から出れるんだろ。森広すぎ!?

 あっ! あの先から木が無くなってる? やっと森から抜けられそう!

 ねずみ達、頑張って! 早く森から抜けちゃおう!!


「あ、森を抜けたと思ったら……崖があるだけじゃん。崖の向こう側も森だし……まだまだだった……」


 残念。

 ん? 崖って障害物なのかな? 障害物ってなんだろ。確か、邪魔な物とかって意味だよね? 崖は邪魔な物? それとも……道が無いってだけ?

 ま……まずい!!


「ねずみ! 止まって!!」

「止まって!」

「止まれ!!」

「止ま…あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 間に合わなかった! 落ちるーーー!!


 ___ばしゃーーーーーーん___


 崖の下は川でした。

 僕は川の底まで沈んじゃいました。

 ねずみ達は川に流されていきます。

 ねずみ達……もう戻ってこれないね。

 “マインドコントロール”は解いておこう。


 ここは森の中にあった崖下の川底。

 こんな所に通りかかる人なんているわけがない。

 どうにかして移動する方法考えないと……うまくいってたと思ったのに。

 川の中かぁ……

 あ、お魚。

 よし、今度は魚にお願いして運んでもらおう!


 “マインドコントロール”で近くを通った魚、十匹を従えてみたけど、お魚さんには僕を持ち上げられなかった……

 僕が浮いていれば運んでもらいたと思うけど、川底に沈んでる僕をひっぱることもできないみたい。

 仕方ないから“マインドコントロール”は解除!

 もうここは水の中なんだから、水氷魔法の水の勢いでどんどん下流まで行っちゃおう!


「よーし、“アクアジェット”!」


 “アクアジェット”は普通、前方に水を勢いよく出す魔法だけど、今回は後ろへ向かって発射!

 この勢いで人がいそうな下流まで行くんだ!

 魔力切れになりそうな雰囲気もないし、全力スピードで走り続けるぞぉ!

 …走る為の足はないんだけどね? そもそも川を流れているだけだから走っているわけじゃないんだけどね?




 ずっと流れてきたけど、そろそろ夜が明けそう。ちょっとずつ明るくなってきた。

 あ! 川岸が見えてきた! ん? なにか明るいような? 火が燃えてる?

 あそこへ流れ着けばとりあえずは陸に上がれそう。

 

 あれ、たき火だ! ってことは人がいるんじゃ!?

 やっと……やっと人に会える!!

 やっとって言ってもまだ出発して一日だけどね。でも一人で川を流れるのはつまらないし。

 よーし、川岸までうまく流されて見つけてもらおう。


 川岸の石にうまく引っかかることが出来た。

 これで夜が明けて、誰かが川まで来ればきっと見つけてくれるはず!

 もうちょっとの辛抱。緊張するなぁ。どんな人かなぁ。

 優しそうな人がいいけど……我儘は言わない! どんな人でもいい!


 ……かわいい女の子がいいなぁなんて思ってないよ? 本当だよ?


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