表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元魔王の剣  作者: 鵙来 蜜柑
39/210

マリーとリンと冒険者ギルド

 王都へ戻る馬車の中は静かだった。

 昇格試験を受けた人達は、自分が合格しているのかどうか不安もあるだろう。

 その上でさっきの騒ぎ。

 こんな中で会話なんか出来ないよね。


 リンだけはニヤニヤと楽しそうに馬車に乗ってるけど……


 そんな沈黙を破ったのは試験官だった。


「冒険者ギルドに到着しましたら、今回の昇格試験を受けた方々はカウンターに魔石を提出してください。普段であればすぐに買い取りさせて頂き、報酬をお渡ししておりますが、今回は試験結果が出るまでお待ち頂きます」


「魔石に含まれる魔力量が合否に関わってくるのかしら? 私は構いませんわ」


「俺も問題ない」


「……大丈夫です」


 カティナ、モーティマ、マリーが返事をし、ミゲルとイゾウは頷いただけ。

 リンは外を見ながら足をブラブラさせている。


「それでは、明日の二の鐘が鳴る頃には結果が出ますので、二の鐘が過ぎてから冒険者ギルドへ来て頂けますか。来られた方にそれぞれに結果をお伝えします」


「わかりましたわ」


 カティナが返事をすると、他のメンバーも頷く。


 その後はまた沈黙……

 誰もしゃべらないまま、王都まで到着した。


 王都へ入ってから、馬車は真っ直ぐに冒険者ギルドへ。

 冒険者ギルド前に馬車が止まり、まず試験官が馬車から降りた。


「では、カウンターに魔石を預けたら解散してください」


 試験官はそう言うと、冒険者ギルドへ急いで戻って行った。


「やっと着いた~! 人殺しと同じ空間にいるのイヤだったんだよね」


 試験官が見えなくなった瞬間に、リンがまた騒ぎだした。

 それを見てついにモーティマがキレた!


「おまえ! いい加減にしろよ! マリーが人殺しだあ!? んなわけねえだろ!」


「なにさ、あんた。いきなり大声だして。迷惑だよ」


「おまっ……!」


「あんた半人ハーフでしょ? 半人がそんなイキってていいの?」


「てめえ……半人だと!?」


 半人って言われたモーティマが更に怒りだした!

 半人って確か、混血の人をバカにする言葉だったっけ……

 そんなこと言われたらそりゃ怒るよね。


「もう止めて! リンは私に文句があるんでしょ? 他の人にまで絡まないで!」


 マリーまで怒りだしちゃった……

 どうすればいいんだろ、これ……


「行きましょう、カティナ様」


「ええ、そうね」


 カティナとミゲルが立ち上がって馬車から降りて行く。

 カティナはマリーを一瞥してから去って行った。

 あれ? イゾウはいつの間にかいなくなってる。僕が気付かない内に降りてたみたい。


「モーティマさん、私達も行こう」


「だが、こいつは……」


「私がちゃんと話してくるから。だから今は落ち着いて」


「ああ……わかった」


 マリーがモーティマを落ち着かせて、馬車から降りる。

 その後をリンがニヤニヤしながらついてくる……

 馬車に残っててもしょうがないし、ついてくるのはわかるけど……

 あまり一緒にはいたくないね。


 冒険者ギルドに入ると、他のメンバーはもうすでに魔石を預けた後なのか出て行く所だった。


「マリーさん、私は今回の昇格試験、合格している自信があります」


「えっ……あ、はい……」


「あなたもちゃんと合格するように! 変な冒険者に絡まれて不合格になんてなったら承知いたしませんわよ!」


「あ……ありがと……?」


 カティナがマリーを励ましてくれてる?

 マリーの事が嫌いだったわけじゃないの?


「ねえ、あんた。変な冒険者って誰の事?」


 リンが今度はカティナに絡み始めた!

 でもカティナはリンを見る事も無く、無視して冒険者ギルドから出て行く。


「ちょっと! 待ちなよ!」


 リンがカティナを追いかけようとしたところで、試験官が戻ってきた。


「リンさん! あなたはこちらへ。アンナ、リンさんを第十三番会議室へお連れしてください」


「もー! バカにされて黙ってろっていうの!?」


「まずは今回の件を終わらせてからにしてください。アンナ、後はお願いします」


「はい。第十三番会議室ですね。わかりました」


 ギルド職員のアンナが、リンを連れて奥へと入って行く。


「では、マリーさんとモーティマさんは魔石を先に預けてください。マリーさんはその後、私に付いてきてください」


「はい……」


 マリーとモーティマはカウンターに魔石を預けに行く。

 魔石を預けた時に名前を書いて、ギルド職員に渡して終わり。


「さて、行きましょう」


 試験官は左側へ向かい、階段を上って行った。

 会議室のある方向だね。


「マリー、明日の二の鐘が鳴ったら冒険者ギルド前で会おう。そこに来なかったらギルド職員に確認に行く」


「うん、わかった。また明日ね」


「おう、明日だ!」


 モーティマは後ろ髪を引かれるように振り返りながら、冒険者ギルドから出て行く。


 モーティマはボウズだから髪なんてないんだけどね。


 マリーはそんなモーティマに頬笑み、意を決したように試験官の後に続いて階段を上って行く。

 さあ、ここからだ!

 僕もいざとなったら……!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ