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元魔王の剣  作者: 鵙来 蜜柑
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脱出

 ……ヒドイ目にあった。

 天井が落ちてきた。

 そう、僕は今瓦礫の中に埋まってる。

 柱一本くらい壊しても大丈夫だと思ったんだけど、もうボロボロのお城だったからかな? それともあの柱が重要だったのかな?

 壊れた後じゃどれだけ考えてもわからないから、忘れちゃおう。

 後悔ばかりじゃ先に進めないからね!


 ……わかってるよ? ついさっき、魔法使う時はちゃんと考えて使わないとって自分で言ってたんだもん。でもさ? 柱一本壊したら建物全部壊れるなんて考える? 無理でしょ?

 だから他の方法は無かったんだよ。仕方ないね。


 よし、気を取り直して。

 まずはこの瓦礫から外に出る事を考えよう。今度はちゃんと考えよう!

 そうだなぁ。


 一番! 火炎魔法ですべて燃やし尽くす。

 二番! 水氷魔法の勢いで瓦礫の外まで僕を飛ばしてもらう。

 三番! 風土魔法で瓦礫を飛ばす。

 四番! ……助け待つ?


 四つも思いついた。でも四番は無いね。だって誰も来ないんだもん。いつまで待てばいいかわからない。

 一番も…ちょっと怖いかな。火事になって消せなかったら大変だから。

 二番か三番。どっちがいいかな?

 二番だと…僕はどこへ飛んでいくかわからないんだよね。周りになにがあるかわからないし。ここよりもっとひどい場所まで飛んじゃったら困るもん。

 ってことは三番しか無いね! 風土魔法で瓦礫を吹き飛ばしちゃおう!

 “ソニックブーム”だと真っ直ぐ飛んで落ちてきちゃいそうだから、こんなときには……


「“タイフーン”!」


 僕の周りから五つの竜巻が生まれて巨大化!どれくらい大きいかわからないけど、十メートルくらいの高さはあるのかな?

 瓦礫を一気に吹き飛ばしてくれた。計算通りだね。

 飛んでった瓦礫のせいで森の木々がなぎ倒されてる音が聞こえるけど気にしない。気にしないったら気にしない! 五つの竜巻もまだ消えないで、森へ向かってるけどそれも気にしない!

 あ、竜巻がやっと消えた。すごいね、竜巻って。ぶっとい木だって根っこから抉り取られて飛ばされてたよ。森に新しい道が出来ちゃった。木が無いだけで、デコボコで歩き辛い道だけどね。誰も通らない道だけどね。


 ……これで瓦礫も無くなったし、外に出れた。目標達成だね!

 次はどうしようかな。

 人のいる所まで行きたいけど、移動する方法が無いんだよね。今度もちゃんと考えてみよう!


 一番! 水氷魔法の水流に流れてどこかへ向かう。

 二番! 風土魔法の風にまかせてどこかへ向かう。

 三番! ……誰かに連れて行ってもらう。


 これしか思いつかないよ……どうしよう?

 水? 風? どっちがいい? どっちにしてもどこへ行くのかわからないけど。

 風よりは水のほうが安全かな?

 う~ん……


 うん? なんか聞こえる?

 なんだろ。下の方から聞こえるから……地下?

 どんどん近付いてきてる気がするけど……


「「「「「チューーーーーーーーーー!!!」」」」」


「うわぁぁぁ!!! ねずみ!? 大量!!」


 このお城にあんなに大量のねずみが居たんだ。

 それで、これだけ地上で騒がしくしたから逃げようとしてるのかな?

 でもびっくりしたな。いきなり出てこなくてもいいのに。

 ねずみかぁ。ねずみ……!!

 ねずみだ!! これだ! 迷ってる暇はない!


「“マインドコントロール”!」


 先頭にいたねずみに魔法をかけることに成功!


「止まれ!」


 やった! 魔法にかかったねずみはちゃんと止まってくれた!

 けど、他のねずみは無視。うん、そうだよね。そっちがその気ならこっちだって!


「“マインドコントロール”!」

「止まれ!」

「“マインドコントロール”!」

「止まれ!」

「“マインドコントロール”!」

「止まれ!」

「“マインドコントロール”!」

「止まれ!」

「“マインドコントロール”!」

「止まれ!」

「“マインドコントロール”!」

「止まれ!」

 …………


 ……疲れた。一匹ずつにしか効果がないのは辛いね。

 魔法の届く範囲からねずみの大群はいなくなっちゃったけど、なんとか二十三匹のねずみを捕まえられた。

 このねずみ達は僕に忠実になってるはず。魔法にかかったねずみ達はちゃんと止まったまま動いてない。

 ふっふっふ…これで三番が使える! 誰かに連れて行ってもらう! ねずみ達に運んでもらえばいいんだ!


「ねずみ達よ! 僕を運んで」


 あれ? 動かない? おかしいな。


「ねずみ達よ! ……ねずみさん? あっ! もしかして……そこの子、こっち来て」


 一番近くにいたねずみに声をかけたら、近付いてきてくれた。


「そっちの子もこっち来て」


 うん、声をかけたねずみはこっちに来る。

 やっぱりそういうことね? 一匹ずつじゃないと命令できないってことね?

 なんて扱い辛い魔法なんだ……


「こっち来て」

「こっち来て」

「こっち来て」

「こっち来て」

「こっち来て」

 …………


「僕を持ち上げて」

「僕を持ち上げて」

「僕を持ち上げて」

「僕を持ち上げて」

「僕を持ち上げて」

 …………


 めんどくさ! なんとかねずみ達の持ち上げてもらえたけど……めんどくさ!!

 でもなんとかこれで動けそうだ。


「よーし、前へすすんで」

「前へすすんで」

「前へすすんで」

「前へすすんで」

「前へすすんで」

 …………


 疲れる……けどこれで人がいる場所の近くまで連れて行ってもらえばいいかな。

 それまでねずみ達には頑張ってもらおう!


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