魔竜への対策
「フィールン、安心なさい。なにもしていないその魔竜を処分することはありませんから」
「……ホントに?」
「ええ。ただし、魔竜の寮への立ち入りは禁止に致します」
立ち入り禁止!?
それじゃ……
「ピーちゃんは寮に入れないの!? 外で寝させろってこと!?」
そういうこと……だよね?
「いいえ、外で寝られる……と言いますか、自由に一匹で外を動かれる方が困りますわ。フィールン、あなたと魔竜の為に研究室を用意致しました。夜はその研究室で魔竜を休ませてあげなさい」
「研究室? そっか。それなら安心かな。じゃあ、ピーちゃんが寂しくないように、あたしも研究室で寝泊まりするね!」
「あなたはしっかりと寮で休みなさい」
「えっ!? なんで!? 別に研究室で寝てもいいじゃん!」
「良くありません。寮で寝るように。それと、コッソリ研究室で寝泊りしてもわかりますからね。ちゃんと夜には寮に戻るように」
「だから、なんでなのさ! なんで寮で寝ないといけないの!?」
「理由は色々ありますが、この学院では寮で寝る事を義務付けているからです。例外は認めていません。いいですね」
「良く……ないよ……」
フィールンは落ち込んじゃった。
産まれたばかりのピエールを一人にするのは心配だもんね。
……あっ! そうだ!
僕がピエールと一緒にいればいいんじゃないかな。
そしたらフィールンはちゃんと寮で寝れるし、ピエールも一匹じゃないよ!
後でフィールンに提案してみよっと。
「魔竜が寮にいなければ、苦情も減りますね。私としてはそれでいいかと思います」
「そうですか。シアリース。あなたにも迷惑をかけてしまいましたわね」
シアリースは学長に微笑んだだけで、何も言わなかった。
「フィールンの研究室はイェレッタの研究室の隣になります。シアリース、場所はわかりますね? フィールンを案内してあげて」
「はい、わかりました。じゃあ、フィールンちゃん。研究室へ行きましょうか」
「うん……」
「フィールン……」
イェレッタが心配そうにフィールンを見てる。
「では、イェレッタ。上薬草の話ですわね」
イェレッタはフィールンに声を掛けようか迷ってたみたいだけど、学長に呼ばれちゃったから声を掛けるのを諦めて、学長の下へ。
フィールンはシアリースと一緒に学長室から出ていく。
学長室を出て、研究室へ向かう間にもシアリースが話しかけていたけど、フィールンはまともに返事もしないまま研究室へ着いちゃった。
「ここも寮と同じ様なカギが付いているのよ。扉に手を当ててみて」
シアリースがそう言うと、フィールンは無言で扉に手を当てる。
寮の時と同じように、黒から茶色へ扉の色が変わっていった。
「これでフィールンちゃん用の部屋になったわ。私はもう行くけど……大丈夫?」
「うん……」
落ち込んだまま、フィールンは自分の研究室へ入った。
心配そうに見ていたシアリースも、フィールンが部屋へ入って扉を閉めた後、去っていく音が聞こえた。
「ねえ、フィールン。ちょっといい?」
「なに? ウル……」
「僕がこの部屋でピエールと一緒にいればいいんじゃないかな? そしたらフィールンも安心でしょ?」
「えっ……? あ、そっか! そうだよね! ウルにいてもらえばいいんだ! ウル、天才!」
さっきまで落ち込んでたのが嘘のように、フィールンが元気になった!
「夜は僕がピエールを見てるから、フィールンはしっかり休んで! ピエールもそれでいい?」
「ピギャ!」
学長達と話しているときは一言も鳴かずにいたピエールだけど、僕の提案を聞いて喜んでくれているみたい。
嬉しそうに頷きながら鳴いてくれた。
これでピエールの方は大丈夫みたいだね!
でも心配なことが一つ……
フィールンは部屋で一人になっちゃうけど、朝はちゃんと起きられるのかな。




