クラスメイト
フィールンは寮から出た後、同じように校舎へ向かう他の生徒達と一緒に歩く。
校舎へ入った後、昨日ルーカスに聞いた特別クラスの場所へ向かった。
フィールンは特別クラスの部屋の前まで来たけど……
扉の前で立ち止まったまま開けようとしない。
どうしたんだろう?
と思ったら、フィールンは大きく息を吸い込んで深呼吸をした。
「ふー……よし、もう大丈夫! 行くよ、ウル!」
「うん!」
フィールンは部屋の扉を開けて中へと入った。
部屋の中には十人くらいの人がそれぞれで固まって話していたり、一人で本を読んでいたりと自由にしている。
フィールンが部屋へと入ると、数人の男の子がこっちを見てきた。
「ああ? 誰だお前」
濃いグレー色の長い髪をした男の子がフィールンに目を向けて声を掛けてきた。
その声で部屋中の視線がフィールンへ集まる。
「あたしはフィールンだよ! 今日から魔法学院に通うことになったんだ! よろしくね!」
「ああ!? よろしくだ? お前……俺が誰だかわかってねえのか?」
「え? 初対面でしょ? わかるわけないじゃん。それともどっかで会ったっけ?」
「お前……俺はヴェルト・ヤーラだ。ヤーラ家の三男だぞ」
ヤーラ家? 有名なのかな? 人族の名字持ちは貴族なんだよね?
「えっ!? あのヤーラ家の!?」
フィールンが驚いてる。やっぱ有名なんだ!
後で聞いてみよう。
「ふっ、わかったか。お前みたいな平民が気軽に話し掛けていい相手じゃないんだよ」
「えっと……話し掛けてきたのはそっちだよね?」
「っ……お前、平民が貴族に逆らっていいと思っているのか?」
「え? 逆らってる?」
「てめえ……」
「落ち着きなよ、ヴェルト。彼女も初めて魔法学院に来て緊張しているのさ。きっと自分が何を言っているのか分からないほどにね」
ヴェルトの隣に座っている青髪の男の子がヴェルトを抑えてくれた。
「セルジオ……でもあいつの態度は……」
「僕等の事を知らなかったのならしょうがないさ。今日は初日だろう? 許してあげようよ」
「……そうか。そうだな。わかった」
「ああ、フィールンくん。僕はセルジオ・ライドラド。一応形だけなんだけど、ここ特別クラスのクラス長をやっている。何かあれば僕に相談してくれていいよ」
「セルジオね。うん、わかった! よろしく!」
「……フィールンくん、キミは貴族というのを知っているのか?」
「え? あ、そうだった! えー! あなたがあのライドラド家の人!?」
「……いきなり何を言ってるんだ?」
「え? 冒険者の先輩が、知らない貴族が名乗ったらそう言えば大体許してくれるって言ってたからやってみたの」
「つまりライドラド家もヤーラ家も知らないと?」
「うん、聞いたことない。あ、そうだ! 貴族には敬語使わなきゃいけないんだよね? あたし敬語苦手なんだけど、それでもいい?」
ヤーラ家のこと知らなかったんだ!?
それより……フィールン。それ、貴族にケンカ売っているようにしか聞こえないよ……
王都のギルド長はフィールンに貴族との付き合い方とか教えなかったのかな……
「……フィールンくんは田舎から来たのかな?」
「あたしは王都から来たよ」
「セルジオ、やっぱりこいつ、一回わからせてやったほうがいいんじゃねえか?」
「うーん……」
セルジオとヴェルトが話していると、二の鐘が鳴り響いた。
二の鐘が鳴り終わるとすぐに、部屋の扉が開いた。
「フィールンもちゃんと来ているわね。良かったわ。フィールンは一旦ワタクシと前へ。他の子達は席に着いてね」
部屋に入ってきたのは学長だった。
学長はフィールンを連れて部屋の前へと進んでいく。
学長が来たからか、セルジオとヴェルトは静かになったけど……
フィールンの学院生活、大丈夫かな……




