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元魔王の剣  作者: 鵙来 蜜柑
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マリーと僕

「やっと一人になれた。剣のこと、ジェイド達と一緒にいるとバレそうで怖かったんだよね」


 マリーがカバンを開けて僕を取り出す。


「この剣だよ。すっごい高級そう。なんで盗賊がこんな剣を持ってたんだろ」


 マリーが鞘に手を掛ける。

 あ、鞘から抜く!?

 あの衝動が来ちゃう…!


「うわっ! 刃が黒い! これってちゃんと斬れるのかな」


 ………………?

 あれ?

 斬りたいって衝動が来ない。なんでだろ?

 あ、マリーがカバンの中から丸くて赤い果物を取り出した。あれはリンゴかな?

 リンゴを椅子の上に置いて僕を構える。


「うりゃ」


 気の抜けるような掛け声と共に僕を振り下ろす。

 振り下ろされた僕は、リンゴをスルっと切った後にそのまま椅子まで一緒に切った。


「えっ!? 何これ! ヤバ! 椅子! 椅子切っちゃった!?」


 椅子切っちゃった。

 でも僕は自分で止められないし、しょうがなかったよね。


「えー。何この切れ味。どーしよう、これ……」


 マリーが僕を鞘に戻して、真っ二つに切れた椅子並べてちゃんと立つようにバランスを取ってる。 壊したってバレないように隠そうとしてるのかな。


 僕の方はリンゴの果汁がついたまま鞘に戻されちゃった……

 ちょっと気持ち悪い。

 果汁はベタベタしそうだし……


(“クリア”!)


 ふぅ。スッキリ!

 果汁が付いたままじゃ気持ち悪いもんね。


「えっ!? 何? 光った!?」


 椅子を見てたはずのマリーが僕を見てびっくりしてる。

 光ったって何?

 あ、もしかして“クリア”って光るの?

 魔法使ってるのバレた? どうしよう……


「なんで光ったの? 何この剣……」


 マリーが僕を隅から隅まで観察してる。

 持ち上げたり、振ってみたり。

 どうしよう。


 話しかけちゃってもいいかな?

 やっぱり会話したほうが楽しいし。

 ずっと黙ったままなのもつまらない!


 よし、話しかけよう。

 ……なんて話かけよう。

 えっと……うーん。


「光ったように見えたの、気のせいだったのかな……?」


「あのー……」


「!? 誰!」


 マリーがキョロキョロと周りを見る。

 そうだよね。

 誰もいないはずの部屋なのに、いきなり声が聞こえてきたらビックリするよね。


「こっちだよ。こっち」


「こっちって!? どこから声が……出てきなさい!」


「えっと……僕だよ。剣だよ」


「剣!?」


「うん。僕は剣だよ、って! うわ!」


 マリーが僕をベッドに投げつけた!

 なんでいきなり投げるの!?


「なんで投げたの!?」


「えっ……剣がしゃべるなんて気持ち悪くて……」


「気持ち悪い!?」


 そんなこと言われるなんて考えてなかった……

 気持ち悪いのか……ショックだ……


「えっと……ホントに剣がしゃべってるの……?」


「うん……でも気持ち悪いならもうしゃべらない……」


「ご……ごめんね? ちょっとビックリしちゃっただけ……」


「ホント? 気持ち悪くない? 大丈夫?」


「う……うん……」


「そっか! 良かった。初めてしゃべる人間に嫌われたらどうしたらいいかわからなかったよ」


「初めて……しゃべるの?」


「うん! 僕しゃべれるようになったばっかなんだ」


「でもキミ……盗賊が持ってたよね?」


「そうだよ。川から流れてきて初めて見つけた人間だったんだ。でも最初は盗賊だって知らなくて。マリー達が襲われそうだったから助けなきゃって思ったんだ」


「助けなきゃ?」


「うん。盗賊に襲われてたから魔法使って壁を作ったんだよ」


「壁って……あの魔法!? キミがやったの!?」


「そうだよ。“アクアウォール”で水の壁を作って、矢を防いだよね」


「“アクアウォール”ってあんな大きな壁は出来ないはず……だよ?」


「えー、でも使ったのは“アクアウォール”だもん」


「そうなんだ……キミは剣として切れ味も凄くて……大魔法が使えて……しゃべれる……」


「うん。そうだけど……」


「何この剣……売ったらいくらになるんだろ」


「えっ!? 売っちゃうの!?」


「えっ!? えっと……そんなことしないんじゃないかな?」


「なんで疑問形!?」


「いや……だって、ね?」


「ね? って言われても……」


「そうだよね。ごめん、かなり混乱してる」


 やっと会話できたけど……

 混乱させちゃったみたい。

 うーん……しゃべっても良かったのかなぁ……


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