幸せ
初めての投稿です。短く拙い文章ですがよろしければご覧ください。
幸せってなんだろうか。
富や名声を手にいれること?
家庭を作ること?
この頃よく考える。
7月にもなると、早朝とはいえうだるような暑さだ。
太陽は容赦なく照りつけるが、その日差しの中、風を切って自転車で走る。
なんという開放感、なんという気持ち良さ。
言葉ではとてもじゃないが表せない。
平日の朝、という背徳感が余計にそんな気分を増長させるのかもしれない。
少し遠くのうどん屋さんに向かって自転車を走らせている。
ちょっと漕いだだけなのに少し息が切れている。
これでも、大学まではスポーツマンだったんだ。
随分と運動不足になっているなと心の中でため息をついた。
僕は、無職だ。いや、一ヶ月前になったというのが正しい。一ヶ月前まではきちんと働いていたのだ。
それこそ、朝から夜遅くまで。
決して仕事ができるわけではなかったと思う。だけど、僕は僕なりに頑張った。下げたくない頭を下げ、聞きたくない上司のお小言を聞いた。頑張ったんだ5年間も。年が明けたぐらいから急に体調を崩すことが多くなり、全てストレスが原因と言われた。ある日、理不尽ななクレームを入れられた。グズグズしやがってと。その時僕の中の何かが切れた。気づいたら僕は地面に這いつくばっていた。息が苦しい。吸っても吸っても空気が入ってこない。涙が止まらない。過呼吸だった。あとで聞いた話だが僕はお客さんに詰め寄っていったらしい。その日からなんとなく職場に行きづらくなり、そのまま辞めた。
そんなわけで僕は今絶賛無職中だ。
朝から自転車を漕いでうどんを食べに行くなんてわけない。
自転車をこぎながら考える。
人の幸せってなんだろう。
思えば、こんなに自由な時間を過ごしているのは初めてかもしれない。
目の前に何もない。仕事も、部活も。
自由な生活。それは素晴らしい。見方によってはこれも一種の幸せか。
でも、それでは人間は生きていけない。生きていくには金がいる。人間らしく生きるには働くしかない。
なんという矛盾か。
幸せって難しいなあ。
心の中でそう呟く。
まあいいさ当面時間は腐るほどあるんだ。
うどんでもすすりながらゆっくり幸せについて考えてみるさ。
うどん屋さんへ向かって自転車はゆっくりと、だけど確実に前へ進んで行っていた。