第2章 天空の世界 第7話 未来人
「ファート、起きてよ!!夕飯できたわよ!!」
ウルスの声でファートは目が覚めた。どうやら寝てしまったようだ。向こうではウルスが夕飯の支度が終わりファートを待っている。ファートは走ってウルスのところへ行った。
「早速食べてよ!あたしが言うのもなんだけど結構おいしいと思うわよ」
ウルスは自慢げに言った。ファートはそれを聞き、急に腹が減るのを感じた。ウルスに礼を言うとスープの中にスプーンを入れ口に運んだ。
「・・・・・このスープの中に何か変なもの入れた?」
ファートはスプーンを手から離しウルスに聞いた。
「えっと、ファートたちのバックにあったものを使わせてもらったわよ。」
「なんであの材料を使ってこのスープができるんだよ。」
ファートはウルスは料理が上手くないことを悟った。
「そんなに、まずかったかしら?ならあたしも一口・・・、まずっ!!」
ウルスは自分の料理ながらまずいという禁句の単語を言っている。ファートは呆れてハースを見た。ハースは黙々とスープを飲んでいる。
「このスープ、おいしいかも。」
ウルスとファートは二人で顔を合わしハースの精神状態を疑った。
夕食?のあと3人はすぐに火を起こし寝る準備を始めた。明日も早いし今日も十分に歩いたから体を休めないとと考えていたのだ。
「ねぇ、なんか足音が聞こえない?」
ウルスは不安そうにファートに聞いた。確かに誰かがこちらへ向かっている足音がする。ファートは剣の柄を握りハースは弓矢を準備した。
「誰だろう、こんな夜に・・・」
木の間から一人の若い男性が現れた。男性はすぐに手を上げ抵抗の意思がないことを示すと口を開いた。
「突然で悪いが、君たちは現代の人か?」
この人は何を聞いているんだ?
「普通にそうですけど」
ハースが普通に答える。それを聞いた男性は安心したかのような顔をしている。
「僕は今の時代から約40年後の世界から来た人間だ。話したいことがあるんだがいいか?」
40年後の世界からの人間?ファートは疑い深かったが手招きで男性をこちらへ呼んだ。
「40年後の未来から来たって、どういうことですか?」
ウルスが腰を下ろした男性に聞く。
「僕が居る40年後の世界ではタイムスリップが発明され過去に戻れるようになっているんだ。タイムスリップを使ってこの時代へ来たってわけだよ」
40年後にタイムスリップ?ファートはまだ疑っていた。
「それでなぜこの時代へ来たんですか?」
ハースが聞くと男性は暗い顔になり話し始めた。
「今の時代は平和かい?」
「それなり平和だと思います」
ハースが答えると男性は話はじめた。
「僕がいる時代は核爆発、世界的な戦争で自然が枯れ人間が住める状態じゃないんだ。隕石落下、地震や津波などで毎日のようにどこかの世界で人が死んでいる」
男性は暗くって居る。40年後に世界崩壊か・・・。
「ある戦争がキッカケなんだ。その戦争が発展し世界を崩壊に導く結果になってしまった。そしてその戦争が始まったのが今の時代なんだ。」
今の時代に戦争・・・。ファートは聞いただけで鳥肌が立つ。
「僕は今の時代の人間にその戦争を止めるようお願いするつもりでこの時代へ来たんだ。今この時代が変われば未来が変わる。きっとこの戦争さえ起きなければ未来は今見たいな安全な世界で均衡が保たれるはずだ。」
俺たちが歴史的な戦争を止めれるのか?
「それは分からない。だがどうしても止めないと未来へ光が差し込まないんだ。」
ハースは唖然として話を聞いている。歴史的な戦争を止めることの重大さを考えているんだろう。
「おそらくその戦争で大量の核爆弾が使われるだろう。もし核爆弾が大量に使われた場合、自然崩壊へと繋がり世界が滅びてしまう。だから頼む戦争を止めてくれ」
そう言うと男性は倒れた。3人が慌てて近づく。
「本当は・・・過去の人間にタイムスリップのことを教えたらいけないんだ・・・。教えたら世界から追放されることになる・・・。だから僕は・・・もうすぐ死ぬだろう・・・。だから君たちはさっき言ったことを信じて・・・、戦争を・・・止めて・・・・。
男性は目を閉じた。なぜか涙が流れる。
「戦争を絶対止めるから・・・。」