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第2章 天空の世界  第4話 再会

 喫茶店で依頼を受けた二人は喫茶店での昼食が終わるとすぐに目的地の古びた教会に向かった。

「ねぇ、簡単に引き受けたけど大丈夫なの?」

ハースは心配そうに聞くファートは普通に答えた。

「なんとかなるでしょ!二人も居るんだし。」

そんな軽い答えを期待してなかったハースは余計に心配になった。旅立つ前までにファートは剣術は教わっていたかもしれない。しかしファートは特別剣術が強いわけでもない。それどころかハースはファートが剣を握る場面をあまり見たことがない。一度ハースの家で異常なほどでかいクモが出現したとき意外で見た覚えがないのだ。ハースは幼い頃から両親に弓などは教わっていてそれなりに弓を使うことはできる。しかしいくら自分が巧みに弓を使えても、初めての世界で見たことないモンスターと戦うことはとても不安なことだった。

「ほら、着いたみたいだぜ。」

ファートは立ち止まって言った。そこには窓ガラスが割れ、壁にはたくさんのひびが入っており、いまにも崩れそうな不気味な教会が建っていた。ビルの4〜5階ほどの高さの教会のてっぺんには変な鳥のマークが付いており大きな時計が二時三十五分で止まっている。こんな不気味なところには誰も近づかないだろうとハースは思った。

「まずは様子を見ながら入ろうよ。誰か居るかもしれないし。」

ハースはそう言うとおそるおそる大きな扉を開けた。中から冷たい空気が流れ込む。中は広く両端に別の部屋へのドアがあり、中央には大きな階段がある。

「なにか不気味なところだな。暗いし。」

「懐中電灯出すわよ?」

「あぁ、ありがと。」

ファートはハースから懐中電灯を受け取ると辺りを照らしながら進んだ。二人は初めに右端の部屋を見ることにした。ドアを開け中を覗いたが誰も居るような気配ではない。

「この部屋には何も居ないみたいね。」

「そうだな。左の部屋へ行こうぜ。」

すぐに部屋を出て次は左の部屋へと向かった。二人が中央の階段を通りかかったとき、なにかが階段から転がり落ちてきた。二人はびっくりし横へ避けた。埃が舞う中、人の影が見える。

「痛った・・・・・。」

腰を抑えながら立ち上がる女性を見てファートが叫んだ。

「お前、ウルスか!?」

ハースはびっくりして見た。確かにそこには先日旅費を騙し取られた相手が居た。

「あら、お二人さん。また会えたわね。」

ウルスはニッコリ笑い、余裕の表情で言う。

「あなた、こんなところで何してるの?」

ハースが聞くとウルスは腰を叩き、埃を払いながら言った。

「ここの教会にモンスターが居るから、倒したら報酬を上げるって言われて・・・。」

「つか、昨日騙し取った料金返せよ!」

「あぁ、あのお金は宿屋代でもう無くなったわよ。残念でした〜。」

ウルスは笑いながら答えると二人に同じ質問をした。

「私たちも近くの喫茶店でモンスターを倒してって依頼されて来たの。モンスターがいそうな雰囲気じゃないけど。」

「あら、あなたちもなのね。」

ウルスは少しびっくりした表情で答えた。

「でもなんでお前階段から転がってきたんだよ?」

ファートの質問にウルスは左隅の部屋を見て言った。

「あの左の部屋に入ったら何者かに後ろから襲われて、気を失ってしまって・・・。それで目が覚めたら階段から落とされていたって訳。」

ハースは自分たちも左の部屋へ行かなくてよかったと思った。

「それにこの教会、変な噂が流れてて・・・。」

「どんな噂なの?」

ハースがウルスに聞いた。

「この世界の幽霊船の話は聞いたことあるわよね?」

「あぁ、なんか最近よく出てるらしい話だろ?」

「そう。昔幽霊船に乗っていた海賊はこの教会を地上の本拠地にしていたらしいのよ。」

ウルスがそう言うとファートが不思議そうに聞いた。

「でもこの世界は浮遊大陸だろ?海なんかはないし、なんでわざわざこんな大きな街に本拠地なんか作ったんだ?」

「ここに作ったのは、その時代まだこの街は王様も居なかったからよ。それにこの辺りでは物価が安く簡単に物が手に入るかららしいの。

 なんかその海賊は空を飛んで悪事をしていたみたいよ。空には雲もあるしあまり気づかれないしね。」

「なるほど、空の上か。」

ファートは納得した表情で頷きウルスは話を続けた。

「それである日、この教会の存在がバレテしまい、街の人々はこの教会に日を放ったのよ。その時、この教会にはまだたくさんの宝や財宝があったらしんだけど、それも一緒に燃えてしまったらしいの。海賊たちは存在がこの世界中に知られてしまいどこの街からも警戒さるようになり、地上に降りにくくなった。

 それである大事な宝を取られた科学者がこの世界中の科学者と協力して天気をずらし雷を操る魔法を作り、それで海賊たちは全滅し滅んだって噂よ。」

「マイクが言っていたことと同じだな。」

ファートは考えながら言った。

「そうね。ウルスはその大事な宝って何か知らないの?」

ハースが聞いたがウルスも首を横に振り「分からない」と答えた。

「でもね、この街から北へ進んだところに研究所があり、その研究所にその博士が住んでいたって話は聞いたことがあるわ。」

「そこに行けば何か分かるかもな。」

「そうね。行って見る価値はあるかもしれないわね。」

ハースとファートが話しているとウルスが慌てて言った。

「まずはここのモンスターを倒すことを考えないと。」

二人はそうだったと気が付いた。

「この階段からは行けないの?」

ファートが聞いたが、ウルスは行き止まりになってると言った。

「なら左の部屋から行くしかないわね。」

「あたし、なんとなくだけど左の部屋の隅にもう一つのドアがあったことを覚えてるわ。」

ウルスが言うとファートは左の部屋しか行く道がないと思った。

「なら左の部屋へ行こうぜ!どっちみち行くしかないんだし。」

「そうね。早く倒してこの教会から出よう。」

三人は懐中電灯で足元を照らしながら左の部屋へのドアへと向かっていった。



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