第2章 天空の世界 第3話 喫茶店での話
昨日はウルスに金を騙し取られショックを隠せず意識がなかった二人だったが次の日になると復活していた。昨日と同じぐらいの時間に宿を出て、街を回り旅に必要な道具を買い集めるため買い物に出かけた。もちろん昨日のように屋台以外では絶対買わないと決めて。
最初に二人が行ったのは手軽な武器を取り扱ってる屋台だった。昨日の一件で信じれる人からしか買わないと決めていたがここの屋台の人は40代後半の女性で優しそうな感じだったので二人は安心して入った。
「この剣なんかかっこよくない?」
ファートが手に取った剣は全長2mぐたいで細い剣だ。ファートは身長が一七0ほどだったので、ぴったりの大きさだ。
「それは七千円だよ。買うかい?」
そういわれるとファートは財布から取り出し剣を買った。剣は普通一万を超えるものが多く、一万以下の剣はすぐに割れたり壊れることが多い。しかしファートが買った剣はしっかりした素材で作られており、それなりに長持ちする剣だ。
「それじゃあ、私はこれね。」
ハースはそういうと弓と弓矢を買い五千円を払った。
武器を買った二人が次に向かったのは旅に欠かせない食材だ。二人ともあまり料理はやったことがないが一応食材は買っておくことにした。小さな八百屋で二人は食材を買ったがそれでも二千円しか掛からなかった。
「この街は商品が安いみたいね。」
ハースが嬉しそうに言う。商品が安かったら出費もあまり掛からないから二人にとっては大助かりだ。
「なるべくこの街で買い集めておこうぜ。他の街が高かったら嫌だしな。」
「そろそろ昼食にしない?私、ものすごいお腹が減ってるんだけど。」
ハースが疲れた口調で言った。
「そうだな。喫茶店なんか探して早く食べようぜ。」
ファートがそう言うとハースの目が復活した。よっぽど腹が減っていたんだろうとファートは思った。この街は屋台や宿、喫茶店なども揃っており、物価も安いため旅人が滞在するには最適な街だ。旅人が集まることでいろいろな情報が交換できる。
二人は街の隅にあった小さな喫茶店に入ることにした。喫茶店の中は多くの旅人で賑わっている。二人はカウンターに座るとそれぞれ注文しメニューが来るのを待っていた。
「ウルスはまだこの街に居るのかな?」
「さぁ、でもまだ遠くには行ってないんじゃない?」
二人が話していると店員の若い男性が話しに入ってきた。
「お前たちもウルスにやられたのか?」
「はい、昨日物を巨額で買わされて・・・。」
ファートは昨日のアクセサリー屋の人が言ったみたいにウルスは有名なんだなと思った。
「ならお前たちは金に困ってるんじゃないのか?どうだ、頼みたい事があるんだが。もちろん報酬は出すぜ。」
男性の発言にファートは食らい付いた。
「なんでも言って下さい!!どんな依頼ですか!?」
ハースは溜息をついた。あまり知らない人は信じないほうがいいと思うんだけどなぁと声を掛けたがファートは聞いてない。
「この店の通りをまっすぐ行って二つ目の角を左へ曲がったら古びた教会があるんだ。そこにモンスターが住んでいるらしくてそこの黒くて角が三つあるモンスターがよくこの店の食材を盗んでとても困ってるんだ。だからそいつを退治してくれれば一万五千は出すぜ。引き受けてくれるか?」
「ねぇファート危ないから・・・」
「もちろんです!!そいつを退治すればいいんですね。任せてください!」
ハースの注意をかき消すようにファートが即答した。男性はにこっと笑うとそれじゃあ頼むぜと言った。