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第2章 天空の世界  第2話 詐欺師ウルス

 次の日になった。昨夜、二人は初日の疲れを取るため早めに寝て、今日は街を回るつもりだった。

 二人は1階のロビーで簡単に朝食を済ませるとすぐに着替えて街に出た。まだ朝だったが昨日入国検査をした警備員が言ったように街は厳重に警察が監視している。

 「ねぇ、なにか買い物に行かない?せっかくだし。」

ハースが言った。ファートも特別行きたい場所が無かったためハースに賛成し屋台が集まっている通りに行くことにした。街はまだ人の通りが少なく静かだったが屋台が集まっている通りはたくさんの旅人や主婦たちで賑わっている。通りにはざっと30〜40ぐらいの屋台があり、いろいろな屋台が集まっている。

 「ねぇ、そこのイケメンと美人のお二人さん!」

ファートとハースはいきなり声を掛けられびっくりして後ろを振り返った。そこにはハースと同じくらいの身長でショートヘアの女の子が二人をニコニコして見ている。歳もあまり二人と変わらないぐらいだ。

 「二人とも旅してるの?」

 「あ・・・、うん。君は何ていうの?」

ファートは動揺を隠せなかったが相手に名前を聞いた。

 「私はウルスって言うの。あなたたちと同じ旅人よ。あなた達は?」

 「俺がファートでこっちがハース。よろしく。」

二人がウルスに軽くお辞儀をするとウルスは急に近づき小声で言った。

 「ここだけの話なんだけど、この世界はね、世界全体の地図があまり売られてないのよ。で、今私が持っているこの貴重な地図があるんだけど、どう5000円で買わない?」

ウルスはそう言うと地図を取り出し二人に見せた。ハースは怪しそうな感じでウルスを睨んでいたがウルスは相変わらずニコニコしている。

 「せっかく貴重な地図なんだし二人とも方向音痴だから買っておかない?」

 「そうね。地図があると便利だし。5000円はちょっと高いけど。」

ハースがそう言うとファートは財布から5000円を出しウルスに渡した。ウルスはありがとうと言うと地図を渡し、その場から去っていった。

 「地図が手に入って良かったわね。」

ハースがそう言うとファートも頷き屋台の通りに入っていった。しかしその屋台で二人は本当のことを知ることになった。

 二人はまず一番手前にあったアクセサリー屋を覗いた。いろんなブレスレットやアクセサリーが並んでいる。ハースは興味深そうに眺めていると、一枚の地図を見て言った。

 「ねぇ、これってさっきウルスが私たちに売っていた地図じゃない?」

 「ホントだ!全然貴重じゃないじゃん!」

二人はこのとき初めてウルスに騙されたことを知った。二人は冷や汗をかいている。

 「すいません、この地図は何円ですか?」

 「あぁ、この地図なら200円だよ。」

 「はっ!?200円!?」

二人はびっくりしって叫んだ。ウルスが二人に売ったのは5000円で4800円も騙し取られている。

 「君たちもウルスに騙されたのかい?」

店の50代ぐらいのおじさんが声を掛ける。二人は青ざめながら頷いた。

 「ウルスはこの辺じゃ有名な詐欺師だよ。この世界に来たばかりの旅人ばかりを狙っていろんな物を騙して売っているんだ。でもまだ君たちはマシなほうじゃ。中には「古代遺跡から出てきた貴重な玉」と言われ普通のビー玉を9000円で買わされた者もいるんじゃからな。」

 おじさんはそう言うとはっはっはっはと笑ったが二人はまったく笑えない。ハースはビー玉を9000円で買わされる者はどんだけ鈍いのかと思ったが、自分たちも騙されたことに変わりはない。ただでさえ財政難で旅費も足らない二人が貴重な地図だからと言われ買ったものが噓であり4800円も損しているとなれば相当な損害だ。

 「ウルスはどうやったら捕まえれるのですか?」

 「あいつを捕まえるのは無理じゃよ。一時期懸賞金まで掛けられたがそれでも誰一人捕まえた者は居ないんじゃからな。素直に諦めなさい。」

 そう言われ二人はショックの色を隠せなかった。






 二人は一日中意識が無く気がついたら宿屋の部屋に戻っていた。ハースは大きなため息を付くとベッドに大の字になって倒れこみイライラを隠せない様子だ。

 食も進まず、昨日より随分早くベットに入った二人は、一言も話すことなく深い眠りについた。

 


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