第1章 旅立ち
「うわああああああああ」
夜中の急な地震でファートは目が覚めた。最近どうもおかしい。ファートは最近日常茶飯事のように起こる地震や津波、洪水などの自然災害の異常な事態に気がついていた。しかしどうすることもできず、ただただ見ているだけだった。
今日はもう寝よう。明日は旅立ちの日だ。そう言い聞かせるとファートは深い眠りについた。
登場人物紹介
○ファート・・・15歳の主人公。15歳になりコンヤフから旅に出る。
○ハース ・・・15歳の少女。ファートと昔からの親友で共に旅に出る。
○シアル ・・・ファートが旅立ちに貰ったドラゴン族のモンスター。
○マグフ ・・・ハースが貰った獣族のモンスター。
朝になった。昨日の夜中の地震でよく眠れなかったが時間通りに起きれた。
「今日は寝坊しないのね。」
母がテーブルを拭きながらからかい半分で言った。ファートは母と二人暮らしで暮らしていた。父は研究者で研究のため違う異世界に行った以来連絡が取れず行方不明になっていた。今更帰ってくるとは思っていない。もう12年も前のことである。母は喫茶店を経営しておりそれなりの収入で暮らしていた。
コンヤフの街では毎年15歳になった少年少女が修行のために旅に出る。今年はファートが旅に出るのである。昨日の夜にリュックにまとめた荷物をからって玄関のドアに手を掛け言った。
「かあさん、じゃあ行ってくる。」
「気をつけてね。くれぐれも父さんみたいにならないこと。」
母は冗談半分で言った。
「分かってるよ。じゃあ行ってくるよ。」
「待ちなさい。まだ鍵渡してないでしょう?」
母はポケットの中から古びた鍵を一つ取り出した。
「これが最初の鍵よ。昔旅していたときに手に入れたの。結局使わなかったけど。」
「ありがとう。どんな世界かは分からないの?」
「もちろん行って見ないと分からないわ。それじゃあ行ってらっしゃい。」
「行ってきます!!」
ファートは勢いよくドアを開き出て行った。
「おはよう。昨日地震大丈夫だった?」
隣の道からファートの昔からの親友のハースが出てきた。ハースも今年15歳でファートと旅をすることになっていた。
「大丈夫だよ。あんまり強くなかったし。お前は?」
「あたし?あたしは気がつかなかった。」
「さすがだな。」
二人が話している間に街の外れにある異世界扉に着いた。
「ここで鍵を差せばいいんだな?」
ファートが行く前に母から貰った鍵を出して差した。
ガチャ
鈍い音を立てて扉が開いた。二人は扉の中の光の中へと進んでいった。