0、寂しい(;_;)お父さん
何か思い付いた。
「.......終わったなあ」
娘の依子が、結婚した。
とても綺麗だった花嫁姿の依子、死んだ家内にも見せてやりたかった。
息子の宏も、さすがに妹に先を越され焦っていたなあ、あいつまだ童貞なんだよなあ。
家内が子供を産んで、ポックリ逝っちまってから、男手一人で育てて来た。
何だかんだ、ずっと忙しかったなあ。
宏も、もう就職して、そこそこいい環境で一人暮らしだ。
依子も、宏も、もう、一人立ちしたんだ。
一人前の、しっかりした、良い大人に、育ってくれたんだ。
俺の子育ても、お節介も、もう終わりだ。
仕事も、遂先日、定年退職で終わった。
人によっては、人生これからという人も居るだろうが、60にもなって、そんな活気はもう無い。
昔は、老後は旅行でもするか、と考えていたが、家内もいない一人旅程寂しいことも無い。
寂しい、酷く寂しい。
宏の所にでも転がり込もうか?嫌、今からがあいつの人生だ。
依子に介護される?もっと嫌だ。幸せな時期だろうに、こんな爺の相手をさせてはいけない。
結局、考えても考えても一人。
「.......」
昼の十一時。
腹は減っていたが、飯を作るのも、食う奴が俺しか居ないのを思うとめんどくさい。
出前という気分でも無かった。外食にでも行こう。子供は居ない、昼から酒を飲むというのもやってみたい。
軽く身支度を終えて、ローンも払い終えた我が家の玄関を開ける。
そして、一歩を踏み出した時。
視界が、光に包まれた。
____心に剣
光は語りかけてくる。
____輝く勇気
歌うように、
____確かに閉じ込めて
誘うように、
____奇跡、切り札は
「畜生が」
____自分だけ。
そして、俺は、意識を失った。
続けば奇跡