最終話 小屋へ
チャキチャキとカッターナイフの刃を出す音が聞こえる。
刃は最大に出ていてまるでアーミーナイフ(見たことないが)のようだ。
「押さえとけよ。まぁ、死なない程度にやるからさ」
全員が俺を見て笑ってる。
「そういや、なんで実家が金持ちなのに金貰っていいとこすまないの?」
「実は金持ちは嘘で、今までの金は金融会社から借りてたもので・・・」
「はっ!?騙してたってことかよ!」
ボーカルはキレている。
「えっ!?じゃあお金はないの!」
リコは驚いている。
「そーゆうことならお前に用はない」
そう言うとカッターナイフを近づけた。
「死ね」
バン!
その時、楽屋のドアが勢い良く開いた。
ヤクザぽいっ男が二人入ってきた。
「ここにオレらの所から金借りたやつがおるってきいたんやけどのぉ!」
(そういえば今日が返済日だった。)
その時に俺を押さえていたやつが怯んだので、俺はすぐ離れた。
そして隠していた拳銃を取り出した。
「おい!何だよその偽物の銃は!?」
ボーカルが叫ぶ。
「本物だ!!」
「そんなオモチャで遊ばずに早く金渡せや!」
ヤクザぽいっ男が叫ぶ。
バァンバァンバァンバァン四発の弾でヤクザぽいっ男二人、ベース、ドラムの四人を撃った。
「うわぁ―――!!!!」
四人は死体と化した。
銃声は他のバンドのライブの音で消された。
「待て、撃つな!謝るから・・・・」
ボーカルは叫ぶ。
バァン!
ボーカルは死んだ。
残るはリコだけ。
「ちょっと待って!別に悪気があってやったわけじゃあ・・・・」
俺は迷っている。
(よし決めた)
バァン!リコも死んだ。
俺はペーパーテストで受かった車の免許でレンタカーを運転している。
後ろにはバラバラにした六人の死体がある。
かなり血なまぐさい臭いが車内に漂う。
外は雨が降っている。
今から山の方へ死体を捨てに行く。
ラジオから聴いたことのある曲が流れてくる。
(なんか聴いたことのある曲だな)
すると、ニュース番組になった。
『臨時ニュースです』
内容は俺がした事だった。犯人を捜しているらしい。
「慌てるな・・・どうにかなるかもしれない」
前には大きな山があった。
「あそこにするか・・・」俺は山の中へ入りさっそく穴を掘った。
雨のなかでカッパを着て掘った。
(結構深く掘ったな・・)死体の入ったビニール袋を捨てた。
そして穴を埋めるため土を穴のなかへ放っていった。
「ハァハァハァハァ・・・これからどうしよう・・・・・」
うえを見上げると薄暗い色をした空と大量の雨の粒があり、粒が顔に打ち付けてきた。
俺は持ってきた少しだけの食料とラジオを持ち、山の中を歩いていると小屋を見つけた。小屋は結構大きく、中に入ってみると以外に広く人が住んでいた形跡があった。家財道具もあり何とか住めそうだった。
小屋は木材で造られている歩くたびにギシギシと音が鳴る。
奥には鍵のかかった鉄の扉がある。
「ここに住むか・・・・」
俺には帰るところがない。その夜、机の中にあったろうそくに火をつけ小屋の中を明るくした。
まだ外は雨が降り続いている。
俺は車の中にギターがあることを思い出し、すぐ取りに行った。
ギターを持ってきてさっそく弾いた。
ギターは綺麗な音色を響かせた。
(そういや、これ高級品だったな・・・)
一時間くらい弾き続けた。そして、俺はボロボロのベッドへ飛び込み寝た。
一週間後。
食料はまだなんとかなる。誰も来ない。
暇なので外を歩くことにした。
林の中へ入り探索をすることにしたが何もなかった。水が流れている音がしたのでその方へ行くと川があった。
(そういや、しばらく風呂に入っていないからこの川で洗うか・・・・」
ザブン
今の季節は冬なので寒さが身に染みる。
心を洗う感じだ。
(ふ〜これから本当にどうなるんだろう・・・・)
誰かに見られている気がする。
「誰だ!」
と言っても反応はない。
俺はすぐ川から出て小屋へ戻った。
一ヵ月後。
食料は底を突いてしまったので山の中を歩き回り食料を探した。
名前の分からない野草や、やっとの思いで捕まえたウサギ。
だが、腹は空き続ける。
川の水を飲みながら食料を探し続けていると、誰かの気配がした。
(見られている・・・・)俺はすぐ小屋へ戻った。
すると、小屋の前にコンビニの店員とボーカルとリコがいた。
「何でいるんだよ〜!」
俺は走り、三人を避けドアの前まで来た。
後ろを見ると三人がこっちに迫ってきている。
俺はすぐドアを開け中へ入った。ハァハァハァハァ・・・・
二ヵ月後。
水だけで何とかここまで生きれた。
でも、もうだめだ。しかも、最近は例のあいつらが小屋のドアをドンドンと叩いてくる。
窓から覗いてくるし、三人いたのが六人いる。
(まただ、結局あいつらにまた苦しめられている)
その時、俺はふと開かずの扉の事を思い出した。
(あの扉、開けてみるか)暗くてよく見えなかったが錠前が付いていたので、弾の入ってない拳銃で叩くと錆びていたのですぐ壊れ、開いた。
ガチャン、ギー
中は薄暗ぐ壁の至る所にカビなど汚れがあり、そして錆びた金庫があった。
(なんだこの金庫は?)
しかも開いている。
キーと鉄のこすれる音がする。
中には拳銃と札束、そしてメモ用紙。
札束は六百万くらいあり、拳銃は弾が入っていて、メモ用紙にはこう書かれていた。
〔私は人間関係で殺人を犯し、そのうえお金まで奪った女です。お金と拳銃もあげます。‐私の死体を見つけてくれた方へ‐〕
少し金庫より前を見てみると女性の死体があった。
(なんだって〜!この人はある意味、俺と同じような人か・・・まてよ、この拳銃はまるで俺に自殺しろと言っているような気が)
拳銃を手に取り、こめかみに銃口を向けた。
(どうせ捕まるかもしれないし・・・この先、生きていたって良いことなんて無さそうだし・・・)
俺は思い切って引き金を引いた。
カチャ・・・・
「あれっ!?」
弾は不発だった。
しかも、弾は錆びていた。
「・・・・・・・」
まだ引き金を引いてみようかと思ったがやめた。
「これってまだ俺に生きろって意味か?」
俺は札束を小屋の部屋中にばらまき、金が宙に舞っている中を飛び回った。「やっほー!生きまくってやるぜ〜!!!」
ガン!
俺は調子に乗り置いてあったボロボロの机に膝をぶつけた。
「痛っ!!」
膝をさすった。
「よしっ!」
俺は思い切り小屋のドアを開け外に出た。
「思い切り人生を楽しんでやるぜ〜!」
俺は持ってた錆びた拳銃の引き金を連続で引いた。
バァン
「うおっ!びびったー」
一発だけ弾が出た
最後まで読んで頂きありがとうございました。