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第三話 希望から真実へ

 明るい光のなかにリコがいる。

「あの、ちょっといいですか?」

「あ、はいどうぞ」

「おじゃまします」

部屋の中は相変わらず綺麗に片付いている。

「座っててください。今コーヒをいれるんで」

「あ、あの・・今から話すことを聞いてもらえませんか?」

「いいですよ」

リコはそう言って湯を沸かす。

「驚かないでくださいよ。俺はさっき人を殺してしまった」

「えっ、バンドの人ですか!?」

リコは驚いているようだが興味津々に聞いてきた。

「違う人であの・・コンビニの店員」

「コンビニの店員ってあの私に盗んだとか言ってきた人?」

「はい・・・」

「何で殺しちゃったんですか!?」

俺は今までの事を全て話した。

リコは驚かず冷静に聞き、俺はどもりながら話した。

「じゃあそのビニール袋の中身って・・・・」

「これ、どうすればいいと思いますか!?」

「捨てちゃいましょう」

リコは淡々という。

「どこに?」

「山がいいと思いますけど・・・あなたはどこがいいと思います?」

(何でこんなに俺より冷静なんだ?)

「山でいいと思います」

「ふ〜」

とリコは息を吐き何か考えている様子だ。

「それならバンドの人らもまとめて捨てちゃいましょう」

リコは淡々と言うとコーヒーをコップに注いだ。

コポコポと音をたてて、霧のような湯気が俺の前で浮遊する。

コーヒは温かくほろ苦く美味しかった。

(本当にここは楽園の様というかまさに楽園だ。これこそキングオブ楽園だ)

「武器は何ですか!?」

とリコはまたもや興味津々に聞いてきたので、俺は調子にのって自慢げに言った。

「カッターナイフとギターで斬りまくって殴ってやるよ!」

「そんなんで勝てるんですか?」

「楽勝楽勝!」

まるで俺はコーヒーに酒が入っているかの如く飲み、話した。

「でも、そうなったらバンドは解散というかあなた以外消えて、あなたは疑われて・・・」

「だから俺がやったということは黙っててくれませんか。無駄なことと思うけど・・・」

「はい、だって私はあなたみたいな人を助けたいと思う性格なんです」

(なんていい人なんだ!)俺は即こう思った。

 俺はリコの家に泊まらせてもらった。

翌日、起きたらすぐテレビのニュースを見たが俺がコンビニ店員を殺したという報道はなかった。

(よし、大丈夫だ。)

カッターナイフと拳銃を準備した。

『昨日、〇〇〇の交番から拳銃一丁が盗まれました』

「なんだって〜!!」

(落ち着け!落ち着くんだー!ばれやしない)

俺はこういう時だけ安易な考えしか働かなかった

「どうしたの?」

とリコは寝ぼけながら聞いてきた。

「なんでもない・・・」

そのあと、俺はリコが作ってくれた朝食を二人で食べた。

ちなみに朝食メニューはトーストと目玉焼き、そしていつものコーヒー。

「あの、実家はお金持ちなんですか?」

リコがいきなり変な質問を俺にぶつけてきた。

「えっ、ああ・・・実家は結構金持ってますけど」

「へ〜そうなんですかぁ」

「でも、なんでそんな質問を?」

「いや、お金持ちそうだったから」

(全然金持ちそうには見えないと思うけど・・・)

リコは先に朝食を食べ終わった。

「あの、私これから行くところがあるんで・・・じゃあ、がんばってください」

「えっ、じゃあ・・・・」

バタン

リコは出ていった。

(よし、帰ってきたら彼女に気持ちを伝えて、どこか遠いところに行こう)

これが、俺のシナリオである。 俺はリコからもらった合鍵でドアを閉めた。

バタン・・・

通路に音が響いている。

俺は腰に拳銃、そして、ポケットにカッターナイフを入れた。

エレベータに入ると、いつものあいつがいた。

コンビニ店員の亡霊だ。

「オマエニハゼッタイムリダ・・・」

「カエリウチニアウ・・」

(こいつ分かるのか?)

「とっとと消えろ!」

いつのまにか店員は消えていた。

ホッとした瞬間エレベータが一気に下がった。

ガタン!

「何だ!?」

そして次の瞬間エレベータは止まらず加速し大きな光が見え落ちた。

ガシャーン

「はっ!?」

気付くと一階に止まっていた。

「アノオンナハヤバイゾ」

また、店員の声が聞こえてきた。

(さっきのはあいつがやったのか。でもあの女ってリコの事か?)

俺はその場を離れた。

(たしか今日はライブがある日だったよな)

ライブ会場に着いた俺は、わざと遅れて入った。


「どういうことなんだよ!聞いてんのか!?」

「今日はたまたま代わりがいたけどよー!」

俺は全員から責め立てられる。

(何がたまたま代わりがいただよ!いつもいるくせによ!)

「でよ、そいつの人件費をお前が払ってくれよ」

これがこのバンドの実態でこうやって俺から金を巻き上げる。

(くそっ!実家が金持ちとか言わなきゃよかった)

だが、こいつらの運命も今日までだと俺は思いニヤリと笑った。

「なんだよおい!こいつとうとう頭おかしくなっちまったぞ」

「お前らを今から殺す!」

「おっ、やっときたか!」

「えっ?」

ドガッ!

俺は誰かに何かで強く殴られ気絶した。

(どういうことだ・・?)

数分後、俺は目覚めた。

目の前にはボーカルとリコがいる。

「状況がよく分からないと思うから説明してやるよ」

そう言うとタバコをくわえ火を点けた。

「え〜俺がリコにお前の話をしたんだよ。なんか面白くてきもくて実家が金持ちのいい金貸しやがいるっていう」

(金は貸してないし、返ってきてないし・・・)

「それでリコも金が欲しいって言って、俺と組んでリコを仕向けた。で、お前はおれらを恨んでて殺したいと言った」

タバコの煙を吹き掛けてきた。

タバコの煙で一瞬だけ前が見えなくなった。

「そしたらお前がコンビニ店員を殺したという俺たちにとって都合のいいことが起きた・・・俺たちはなんとかお前から大金を巻き上げようと騙そうとしたがだ・・・」

近づき、タバコの火を俺の額に押しつけてきた。

「あっ、熱!あー!」

俺以外全員笑っている。

「つまり、意味分かるか?黙っといてやるから金くれよってことだよ」

まだ、額に熱さが残っている。

「お前らなんかにやる金はない!」

(絶対ぶっ殺してやる!)

「なんだよ、反抗するきか?オレらを殺そうとしやがってよ!少し体でオレらの恐怖を教えてやるか」

そう言うとポケットから俺が買ったカッターナイフを取り出した。

(まさか・・・それで?)チャキチャキ

刃が出ているカッターナイフを持ったボーカルが近づいてくる。

そして俺の顔は斜めに切られた。

「うわぁー!」

俺は逃げようとしたが他のやつに押さえられた。

「ちゃんと押さえとけよ」

俺の顔から血が滴り落ちている。

また読んでいただきありがとうございました。

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