第6話
──日曜日
今日は、大学の同期と会う日だった。
駅前のいつもの場所で待ち合わせをしている。
そしたらやってきた。
佐藤亜由美。
「夏生君、久しぶり!」
「佐藤……相変わらず元気そうだな」
佐藤は中学校の教員をやっている。
定期的に飯に誘ってくれて、同じ教員仲間として悩みや愚痴を話したりして息抜きをしている。ありがたい存在だ。
近くのレストランに二人で入った。
「夏生くん最近どう?」
今、俺の悩みのほとんどは、紺野だ。
佐藤に少し聞いてみるか。
「……あのさ、もし生徒に告白されたらどうする? 例えばだけど」
佐藤は、きょとんとしている。
「いや普通に無理でしょ。中学生だし」
ああ、そうか。
中学生だと、まったく違うな。
高校生は――
卒業したら“成人”なんだ。
返事もできずにモヤモヤ考えていると、料理が運ばれてきた。
「夏生君、もしかして、告白されたの!?」
「いや、同じ学校の教員が……ね」
結局、答えを見つけないといけないのは自分なんだ。
飯を食って、佐藤と近況を話し終わった後、二人で店を出た。
駅前のロータリーを歩いていると、停まっているバスから見覚えのある人間が出てきた。
──紺野だ。
その時、紺野がこちらの視線に気づいたのか、振り返った。
「先生!」
紺野がこっちに向かってきた。
でも、佐藤に気づくと立ち止まった。
「夏生君、この子もしかして生徒?」
このタイミングで紺野と会うのは想定外……。
「去年担任していた生徒」
「えー!そうなんだー凄い可愛いね」
紺野はそのまま通り過ぎて駅に行った。
胸がちくりと痛んだ。
「もしかして、夏生君、あの子に……?」
「違う!」
咄嗟に訂正したが、佐藤にバレたところでそこまで慌てる必要はない。
ただ、今はまだ打ち明けたくなかった。




