第23話
とある土曜、雪と家でまったりしていた。
「先生、私誕生日じゃないのに、嬉しいです!」
雪は、薬指につけた指輪を見ながら目をキラキラさせていた。
恋人らしいことはできない。
だから、せめて証が欲しかった。
「ペアリングですか?」
「いや、俺はできない……」
「えー!!」
雪の不満が爆発している。
結婚指輪ならいいんだが、そうでない場合は難しい。
「ごめん!本当に」
雪はムスッとしている。
「じゃあ代わりに、指輪以外なら大丈夫ですか?」
「あまり派手なものじゃなければ……」
その後、俺と雪はやや変装して、駅ビルに行くことにした。
まるで、芸能人みたいに……。
雪は、色々アクセサリーを探していた。
「時計がいいと思ったんですけど、予算が……」
「無理しなくていいから……」
「いえ、私だけは嫌です!」
そのまま、いろんな店をハシゴした時――
「あ! これがいいです!」
雪が見せてきたのはブレスレットだった。
「結構シンプルなデザインですし、そんなに目立たないですよね」
確かに、これならつけていても支障が出なそう。
「本当はペアリングがいいんですけどね」
「ごめん……」
雪は、それを買って、すぐに俺の腕につけた。
「これで先生は私のもの」
俺の手に、指を絡ませてきた。
驚いて手を離した。
雪もそれに驚いて、今にも泣きだしそうだった。
急いで、人目がつかないところに行った。
「ごめん、本当に……」
「わかってます、私が油断したんです……」
……これを、二年間。か。
俺は、そっと雪にキスをした。
「二年したら、ちゃんと繋ぐから……」
雪は、少しだけ微笑んだ。
「はい、頑張ります……」
そしてまた、人目を忍んでお互いの存在を確かめ合う。
俺の都合で、本当に申し訳ないけど。
──雪を、離したくないんだ。




