第22話
布団にくるまって、二人で身を寄せ合っていた。
お互いの体温を感じながら。
「先生、みんな“夏生先生”って言いますよね。苗字もあるのに」
「同じ苗字の職員が多いんだよ。だから下の名前で呼ばないと、訳わからなくなる」
「確かに……日本でかなり多いですよね」
他愛もない話をしながら。
昼に差し掛かっていた。
「お腹すいた?」
「そうですね……胸はいっぱいです」
「………」
昨日の夜から、この空間で二人だけの時間に浸っている。
でも、さすがにもう帰さないといけない。
「先生、“雪”って呼んでください」
「……雪」
雪のように白くて清らかなのに、欲望はやや歪んでいて。
雪にキスをした。
「好き」
……俺の方がお前に夢中だよ。
その後、雪を家に送り届けた。
* * *
──それから、一ヶ月後。
知らない番号から、着信があった。
出てみると――
「夏生くん、心配かけてごめん。私」
佐藤だった。
佐藤が事件の後、突然いなくなって、ずっと気がかりだった。
電話がきて安心した。
「どこに行ってたの?」
『実家にいる。ちょっと色々リセットしたくて……』
実家にいるなら、安全だ。
『私、もうそっちには戻らないことにした。これからはこっちで仕事する』
確か、佐藤が住んでいるのはかなり遠い県だ。
「そうか……そっちの方が平和かもな」
『ちょっと不便だけどね。でも、本当にやりたかったことと、また一から向き合う』
「うん、応援してる」
また教師をやるかはわからないが――
前を向こうとしている。
きっと佐藤なら、いい未来を掴める気がする。
『あ、あの子とどう?』
やっぱり聞かれた。
「あいつが二十歳になるまでは、正式には付き合わないってことにしてて……」
『えー! 本当に真面目だね。我慢できるのかな? 二人とも』
……正直、それはわからない。
ただ、それが俺が考える、俺たちがこの先穏やかでいられるベストな方法なんだ。
「頑張る」
佐藤は笑っていた。
『私も応援してるよー』
佐藤とそこで通話を終えた。




