第17話
紺野は、俺の告白に驚いて泣いていた。
「嬉しいです……」
とりあえず、紺野を家まで送ることにした。
紺野は、後部座席に座った。
俺は、あの言葉を言ってから、その続きを何も言っていない。
ただ、無言で車を走らせていた。
紺野も何も言わなかった。
そして紺野の家に着いた。
「先生、ありがとうございました」
自分の言った言葉に、どうするのかよくわからないまま、ここまで来てしまった。
「うん……おやすみ」
ぼーっとしていると――
「先生……すみません。私、スマホ出した時にバッグから大切なものを落としたっぽいです……ここに」
その後、後部座席をひたすら探したが、夜だったのもあって見つからなかった。
「また俺が探すから。見つかったら連絡する」
「はい……」
そこに、微妙に甘ったるい空気が流れる。
恥ずかしくなって、もう帰ろうとした――その時。
紺野が、俺の手に触れていた。
「先生……キスしてください」
……好きだとは言った。
俺が言った。
ただ、まだ気持ちの整理がついてない。
そして、今の状況をようやく理解できた。
後部座席に、二人で並んで座っている。
いや、普通に出ればいい。
ただ、意識したら緊張して、体が動かない。
何歳も年上なのに、情けない……。
──でも、もう。
情けなくていい。
俺は、車の中のライトを消した。
そして、紺野にキスをした。
* * *
その後は、うろ覚えだが――
紺野が背中に腕を回してきたり、また好きだのなんだの言ってくるから、理性と本能の狭間で戦いながら、なんとかギリギリを踏みとどまって、帰ってきた。
帰ってきて、冷え切った体を湯船で温めて。
疲労と安心感に包まれて、そのまま風呂から上がって――寝てしまった。
その夜の夢に、あの頃の紺野がまた出てきた。
夢の中でも、俺たちは抱き合っていた。
そして、俺は――
……紺野を汚してしまった。
* * *
起きた時、自分がどれだけ紺野を求めていたか、痛感した。
心臓が煩くて、汗がすごくて、自分でも怖かった。
そして、やっぱりまだ紺野とどうするかってのを、はっきりするのが難しかった。
スマホを見たら、通知が何件かきていた。
紺野と、佐藤。
紺野の方は、恥ずかしいくらいに色々俺への想いが書いてあって。また後で見ることにした。
佐藤は、何回か着信があった。
……三時台に。
何があった……?
一応電話をしてみたが、出なかった。
とりあえず準備をして、学校に向かった。
その後はいつも通りに仕事をして、昼にまた佐藤に電話をかけた。
しばらく呼び出し音が鳴ったあと――
やっと佐藤が電話に出た。
「夏生君……ごめん」
「どうした?」
「……バレちゃったの。不倫してたの……学校に……」
……背筋が凍った。




