第15話
それから、毎週のように佐藤と会うようになった。
ちょっと会って、飯食って、愚痴って、関係ない話して笑ったり。
自分を取り戻せてるような気がする。
「夏生君がいてくれてよかったー。いなかったら私、死んでたかも」
「洒落にならないから、そういうこと言うなよ……」
佐藤は気丈にしているが、危うい。
「何であんな男、好きになったんだろ。今考えると最低な奴。でもさ、忘れられないんだよね……」
わかる。
俺も、紺野から抜け出せてない。
ただ、佐藤といる時間は、それを忘れられる。
今、佐藤と俺は似たもの同士で、埋まらない孤独を埋めているだけ。
「俺、眠くなってきたから帰る……」
「えー、私泊まってもいい?」
「いや、やめて……」
俺の反応を見て楽しんでる佐藤。
店を出て、自宅に帰る途中、だんだんと薄れていく紺野の面影と、だんだんと近くなる佐藤の距離に戸惑いながらも、ただ毎日をこなす。
帰ってスマホを見ると、通知があった。
『今日もありがとねー。おやすみー』
佐藤の、シンプルなメッセージ。
『おやすみ』
それだけ送った。
さっさと寝よう。
* * *
週明けは、雨が連続していた。
ジメジメした校内。
生徒も怠そう。俺も怠い。
とりあえず、進むべきところまでやるしかない。
授業が終わって、外をまた見てみたが――
ずーっと降り続く雨。
高架下の道路が冠水するかもな……。
警報も出たから授業は短縮になり、早めに帰れることになった。
──が
俺は大きなミスをやらかし、一人職員室で作業をしていた。
やっと帰れると思った頃には雨は落ち着いていた。
職員玄関を出たら、誰か立っていた。
──紺野だった。




