第14話
俺は今――
合コンにいる。
佐藤が気を使って無理やりねじ込んでくれた感じだ。
佐藤以外、誰も知らない。
どうすればいいかわからない。
佐藤に呼ばれた。
「ごめん、ちょっと気分転換にって思ったんだけど、しんどかったら帰ってもいいから」
楽しめるかは別として、俺のことを考えて、わざわざこうしてくれて、一人でいる時間を少しでも減らしてくれるのはありがたかった。
「大丈夫。こういう雰囲気が少し苦手なだけ。誘ってくれてありがとう」
佐藤の高校の同級生と、佐藤の友達の大学の同期。
完全に異物な俺だけど、なんとかその場を乗り切った。
そして、その店を出たあと。
俺と佐藤は、帰ることにした。
「今日はどうだった?」
「久々に、仕事と関係ない人と少し話せてよかったよ」
……でも、何も埋まらなかった。
「ならよかったー。実は私、彼氏と別れて本当は今めちゃくちゃキツイんだよね……」
「は?」
全く気がつかなかった。
よくよく見ると、確かにいつもの明るい雰囲気はない。
「正直に言うね……。私さ、不倫してたんだよね。生徒の保護者と」
衝撃的だった。
……それは、ヤバい。
そんなことをするやつだとは思ってなかった。
ただ、俺も一歩間違えれば似たような危険を犯す立場にはいて――
何て返せばいいかわからなかった。
「突然ごめんね、びっくりしたよね。夏生君に比べたらさ、私なんかクソだよ」
佐藤は、知らないところで一人で苦しんでたのか……。
「教師であっても人間なんだから、そんなに責めるなよ」
俺が言うセリフか?それ。
自分で言って、違和感だらけだ。
「夏生君に言われたくないわー」
「うん、わかってる」
そのまま、二人で他愛もない話をしたりしながら、家に帰った。
自分だけが苦しんでるわけではない、ということが、本当に救いだった。




