第13話
夏生先生――
私は高校三年生の時、担任の先生に恋をした。
教師にしては若い。
っていうか、去年まで大学生だったとか。
そんなの、ほぼ私たちと同じじゃん!
……って、嬉しかった。
若い先生は、自然と人気が出る。
男子は半分友達感覚で話そうとしたり、 女子は“少し年上の男の人”っていう目線で見る。
夏生先生は、生徒から毎日いっぱい話しかけられて、大変なのを笑顔で何とか乗り切ってた気がする。
本当はこんなに賑やかな場所、好きじゃないのかもしれない。
でも、勉強を教えている姿は落ち着いていて、柔らかかった。
先生は本が好き。
本屋に行くと、かなりの割合でいる。
先生が手に取る小説が気になって、
先生がいなくなったあと、少し覗いてみた。
……内容は。
結構、地味だった。
先生は確かに、華があるタイプではない。
でも。
急に大雨が降った日に、先生がグラウンドから急いで教室に戻ろうとして、昇降口に立っていた時。
大雨で濡れてた先生が、すごく無防備だったんだ。
私はその時、先生に恋をしてしまった。
先生は真面目だし、私は生徒だし。
私は先生を、困らせたくなかった。
だから一年間我慢した。
私が卒業したら、ちゃんと先生に向き合いたくて。
……でも、やっぱり、難しかった。
だって、卒業して一年も経ってない。
でもね、私。
すごく好きになってしまって、自分でも止められなくて、やっぱり先生を困らせてしまった。
先生の本当の気持ちはわからない。
ただ、少なくとも困らせているのはわかってる。
先生の重荷になっているなら、引くしかないよ。
だから、彼氏を作った。
先生と最後に会う何日か前に、告白された。
断ろうとしたけど、先生以外の人と恋愛してみたら、何か変わるかもしれないと思って。
でもね。
彼とどこを歩いても、何を話しても、彼が“先生”になっちゃうの。
──その日
帰りに彼氏に家まで送ってもらった時、キスをされそうになった。
私は……拒んでしまった。
彼は怒らなかった。
でも落ち込んでいた。
私は、どうすればいいかわからなくなっていた。
先生。
私はやっぱり、あなたからまだ卒業できないです。




