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VISION  作者: Mr.M
二章 飛行機墜落事故?

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8/20

第8話 フロランタン

それからしばらくしたある日。

私が小学校から帰ると

母が電話をしていた。

母は日頃聞き慣れない言葉で話していた。

呪文のような響きが

ぼんやりと記憶に残っている。

私は母の隣に立って耳を澄ませてみたが、

母が何を言っているのか

全くわからなかった。

母を遠い存在に感じたと同時に、

言葉が通じなくなったのではないかと

私は急に恐ろしくなった。

そんな私の不安を知ってか知らずか、

母は私を抱き寄せて頭を撫でた。

いつもの母の温かさに

私は安心して体を預けて母を見上げた。

母の表情はどこか悲しげだった。


通話が終わると

母は私の背中を押して

ダイニングテーブルへ座らせた。

そして冷蔵庫から

ミネラルウォーターを出して、

2つのコップに注いだ。

1つを私の前に置いて、

残る1つを母は一気に飲み干した。

それから母はクッキーをお皿に出して、

私の前に置いた。

「全部食べては駄目よ。

 もうすぐ晩御飯だから」

私が頷くと、

「ちょっとお父さんに電話してくるから」

と言って母はふたたびリビングにいった。

私は母の様子が気になったが、

それ以上に目の前にある

大好きなクッキーの方に心を奪われた。

母がよく作ってくれたこのクッキーは

後にフロランタンという焼き菓子

であることがわかった。


その夜。

父と母は珍しく真剣な表情で

話し合っていた。

私はそれを傍らで聞いていた。

「行くなら早いほうがいい。

 仕事は何とかなるから、

 とにかくチケットを取ろう」

「この子はどうします?

 一緒に連れて行ったほうがいいかしら」

「・・今回は。

 連れて行かなくてもいいと思うが。

 うちの実家には任せられないから・・」

「じゃあ、

 秋好さんに頼んでみようかしら?

 秋好さんならこの子も懐いているし、

 事情を話せば理解してくれるわ」

私は「あきよし」という名前が出たことに

ハッとした。

そして急に不安になった。


あの夢で私は何を見たのだろう。

私がもう少し成長していて、

自分の能力をはっきりと自覚していたら。

そう考えると悔やんでも悔やみきれない。

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