第七話 森を抜けた先の、小さな村へ
森から歩いて三十分ほどで、見えてきた村は、素朴ではあるが人の営みの温かさが漂っていた。藁葺き屋根、小さな畑、家畜の鳴き声。森を抜けたばかりのリノには、その全てが救いのように感じられた。
村の入口に掲げられた看板には--"ロワナ村"--とある。
(……本当に人がいる。やっと安全な場所に来れた!)
「ロワナ村……この国の村なのかな?」
しかし、10歳の姿のまま森から急に現れた子供は目立つ。
村人の視線を少しだけ感じたので、リノは軽く会釈しながら歩いた。
村に一軒だけある商店。木造の建物で、入口には乾燥させた薬草や雑貨が並べられている。
カラン、と鈴が鳴る。
店に入ると中年の店主が優しく出迎えてくれた。
「いらっしゃ……って、ひとりかい?随分小さな旅人だねぇ」
「え、えっと……森で迷って……採ったものを売りたいんです」
リノは、森で採った素材をいくつか防犯のためマジックバックに見せかけて、カバンの中から取り出し、カウンターに並べていく。
・青葉草×7
・香りキノコ×4
・赤斑キノコ×5
・森ベリー×10
・ヒールリーフ×3
・ライトリーフ×2
そして--
フォレストウルフ(討伐済・未解体)をどう扱うか迷いつつ、言う。
「あの……森で倒した未解体のフォレストウルフもあるんですが……」
店主の表情が一瞬だけ固まる
「お、お前さん……Dランクのフォレストウルフを倒したのかい!?」
疑惑と驚きの視線。
リノは困りつつも、笑って誤魔化すしかなかった。
「えっと、運が良かっただけです。本当に、たまたまです」
「未解体なんだろ?だったら村じゃ扱えないよ。街の"冒険者ギルド"なら解体所があるから、そっちに持っていくといい」
村の規模的に、魔物解体の設備も専門家もいないのは当然だ。
「じゃあ、この素材だけ……お願いします」
店主は丁寧に鑑定し、計算する。
・青葉草7束→鉄貨35枚
・香りキノコ4個→鉄貨32枚
・赤斑キノコ5個→鉄貨50枚
・森ベリー10粒→鉄貨40枚
・ヒールリーフ3束→銅貨24枚
・ライトリーフ2束→銅貨8枚
合計:銅貨32枚、鉄貨157枚
「で……街へ行くのかい?」
「はい。出来れば地図が欲しくて」
店主は紙切れに手書きで丁寧な地図を書き、渡してくれた。
「ここから南西に歩くと"アイゼルト"って街がある。国境近くで、冒険者も商人も多くて便利なところだよ」
リノは深く頭を下げる。
「ありがとうございます。……すごく助かりました」
「気をつけていくんだよ。子供の一人旅なんて、怖いことばかりさ」
店主に見送られ、店を後にする。




