第二十八話 ランクアップに向けて~戦闘①~
翌朝。
宿の食事で軽く朝食を取り、身支度を整えたリノは、冒険者ギルドへ向かった。
受付へ行き、討伐依頼を受けるついでに尋ねた。
「すみません。護衛依頼はどのランクから受けられますか?」
受付嬢は笑顔で首を横に振る。
「申し訳ありません。護衛依頼は対象の安全を確保するため、最低でもCランク以上の実績が求められます」
護衛依頼を受けるためには、ランクアップが必須のようだ。
「わかりました。では、FランクからEランクへ昇格するために、Eランク討伐依頼を受けますね」
リノは現在Fランクだが、ルール上、一つ上のランクの依頼までは受けることが可能だ。
「ホーンラビットの討伐ですね。森の奥はCランクの魔物も出現するので、くれぐれもご注意ください」
リノは依頼書を手にギルドを出た。
森の入口は見慣れた風景だったが、今日はさらに奥へと足を踏み入れる。
《探知》を展開し、小さな反応を拾う。
草の音がした瞬間--
「ウォーターカッター」
まだ制御は未熟だが、薄く伸びた水刃が地面を切り裂き、飛びかかるホーンラビットの前足をかすめた。
「っ……外れた!」
だが焦らない。
魔力を再度練り直し、射線を修正。
「もう一回。--ウォーターカッター!」
今度は狙い通り。
斜めに伸びた水刃がホーンラビットの首を切り裂き、転がった。
背後から二体目が突っ込む。
(速い……なら、迎撃!)
手に魔力を集め、
「ストーンバレット!」
石は生み出された瞬間に高速射出され
--額へ直撃、鈍い音と共に沈黙した。
三体目は逃げようと林へ向かう。
リノは深呼吸し、狙いを定める。
「ファイアーボール!」
まだ爆炎は小さい。けれど熱量は十分。地面で弾け--
火柱で逃走経路を塞ぎ、
「ウォーターカッター」
水刃がホーンラビットの胴を切り裂いた。
(よし……ちゃんと狙い通り止められた)
落ち着いた手つきでアイテムボックスへ収納する。
少し歩くと探知にまた反応があり、樹上から不穏な糸が落ちてきた。
リノは即座に後ろに飛ぶ。
「まず……ライト」
強い光が手のひらから溢れ、影に潜んでいた巨大蜘蛛の姿が露わになる。
(射程は近い……横移動して)
「ストーンバレット!」
三発連射。一発は外れたが二発目が脚部を砕いた。
蜘蛛が毒液を噴射しようと腹を持ち上げた瞬間--
「それなら、ウォーターカッター」
頭に当たり、動かなくなった。
リノは息を吐き、震える手を押さえる。
(実戦の緊張……訓練よりすごい。でも、出来た)
そう思いながら、フォレストスパイダーをアイテムボックスに収納した。




