第二十四話 カンルイの森:魔法の練習
カンルイの森に足を踏み入れた瞬間、リノは立ち止まった。
湿った土の匂い、葉っぱの擦れる音、小鳥の鳴き声がする。
まずは深呼吸をひとつ。
図書館の本で読んだ魔法を練習してみようと思い、まずは探知の魔法を試してみる。
(魔力を中心に集めて……外へ薄く広げる)
淡く広がる魔力の膜--しかしすぐに揺らぎ霧散した。
「ぅ……集中が足りない……もう1回」
目を閉じ、森の音を遮り、自分の魔力の流れだけを追う。
今度こそ薄い波紋のように周囲に広がった。
「よし、成功した。次はライトをやってみよう!これを使えると夜に便利だよね〜」
危険防止のためサーチを展開したままほかの練習を始めた。
指先に魔力を集め、形を作ると黄色い光球が灯った。
森の薄暗い影が押しやられ、足元がよく見える。
感覚をつけるまで何度か消したり付けたりしてから、次の魔法へ移る。
「つぎは身体強化をやってみよう」
本で読んだ通りに魔力を体に巡らせて少し飛び跳ねてみる
--しかし魔力を流しすぎた。
思ったよりも上に飛び跳ねてしまい、地面に着地する。
「うわっ……っ、これ加減難しい……!」
調整し一度小走りをし、止まり、もう一度走る。
魔力の流量を調整し、身体を持っていかれない「ちょうどいい」ラインを掴む。
「よし!次にいこう」
手を前に掲げ、魔力で「弾丸になる石」を生成するイメージを浮かべた。
魔力を凝縮し、小さな拳大の石の塊が手に生まれる。
石が大きくなると、魔力の維持が難しくなってきた。
(これを撃つ……!)
リノは前方の木の幹に照準を合わせる。
「--ストーンバレット!」
石が弾丸となり射出されるが、狙いがずれて地面に弾け飛んだ。
(放つ瞬間の方向と加減が難しい……)
何度か試し、ようやく幹に当てられるようになった。
「次は、ファイアーボールとウォーターカッターか……よし、やるぞ〜!」
火属性は暴発しやすいと書かれていたので、小さめサイズを生成。
「ファイアーボール!」
手のひら程の赤い火球が熱を持って浮く。
「なんとなく、魔法を使う感覚が分かってきたかも。何度か練習したら次にいこう」
「ウォーターカッター」
本に書かれていた通りに水を生成して、形を形成しようとするが……これもまた難しい。十回以上試して、やっと木を切り倒した。
制御の繊細さを理解しながら練習を重ねた。
--本人は気づいていない。探知を展開しながらの魔法練習は多重展開と言われ、普通の魔法使いには難しいことを。




