第二十一話 訓練後の夜:こもれび亭へ戻る
新人訓練が終わる頃には、空が暗く沈み、夜が静かに街を包んでいた。
リノは静かにギルドを出て、昼間より人の少ない通りを抜け、宿へと向かう。
宿の扉を押すと、木の香りがほんのりと鼻をくすぐる。
受付の女性はチラリとリノを見て、軽く会釈をする。リノも同じく、小さく会釈をして食堂へ進む。
こもれび亭の今日の夕食は、
・黒パン
・野菜スープ
・焼き白身魚
やはり味は--"微妙"である。
食べられなくはないが、どれも味は薄く、素材の苦味が少し残ったような味。
(……うん、やっぱり薄い、あと白身、魚油つけすぎてるなぁ……)
しかし冒険者としては、十分すぎる食事だ。
リノは黙ってゆっくり噛み、時間をかけて食べ終えた。
食後、部屋に戻ると、桶に入ったぬるい水がすでに届けられていた。
布タオルを濡らして身体を拭くと、今日一日の汗と土埃がようやく落ちていき、肩の力が抜ける。
そのまま寝るにはまだ早く、リノはベッドの上に正座をし、呼吸を整える。
へその下から温かい魔力がふわりと立ち上がる。
(集めて……ゆっくり巡らせる……外に漏らさないように……)
魔力は膨大で、少し気を緩めると暴走しそうになる。
だが、新人訓練で言われたように、自分でも"細く、弱く"を意識すると、糸のように繊細な力として流れ始める。
それを胸、腹、手先へとゆっくり循環させる。
失敗しても小さく息を整え、再度集中する。その繰り返し。
(ちょっとだけ、最初よりも安定したかも)
しばらく練習していると、まぶたが自然と重くなる。
明日から本格的に動きたいので、無理をせず膝を伸ばしてベッドに横になる。
薄い毛布を肩までかけると、リノは静かに眠りについた。




