第二十話 個別コメント
訓練が全て終わると、訓練場の中央に集められ、一人ずつ教官から短い講評が渡される時間が始まった。
リノの番になると教官のベテラン冒険者--短い赤髪で鋭い目の男性が前に立ち、資料板をパラリとめくった。
「--リノ、だな。まず、今日の総合評価を言う」
彼は腕を組み、リノを上から下まで一度しっかりと観察する。
「武器の扱いは呑み込みが早い。子供でここまで構えが安定するのは珍しい。身体の軸がぶれないのは、生まれつきの素質か……あるいは、独学で体幹を鍛えていたのか?」
リノは何も言えず、小さく首を振る。
次に魔力測定の結果について触れる。
教官は少し顔をしかめ、資料板に指でコツンと触れた。
「魔力量については--正直、規格外だ。新人の平均が50~120のところ、お前は推定1000。宮廷魔術師クラスだ。だが制御は甘い。暴発はしなかったが、魔力が溢れそうになっていた。まずは魔力操作を徹底的に練習しろ」
そして最後に柔らかい声になる。
「焦る必要は無い。魔力は"力より制御"だ。毎日少しずつ繊細な操作を続ければ、すぐに安定するようになる。お前なら習得は早いだろう」
教官はリノに向かって手を差し出す。
「--期待している。出来るだけ怪我はするなよ」
リノは握手をし、深々と頭を下げた。
その瞬間、周囲の新人たちの視線が「すごい子が居た」という驚きに変わる。
--本人は気づかないまま




