十八話 初歩の採取説明~ギルド教官達による基本レクチャー~
武器訓練と魔法基礎が終わり、新人たちが息を整えていると、教官が木箱を運んできた。
箱の中には乾燥した薬草の束や、採取に使う小道具が入っている。
教官は落ち着いた声で言った。
「さて、ここからは《採取の基礎》だ。新人のうちは討伐よりも採取依頼の方が安定して稼げる。まずは、薬草の見分け方、持ち帰り方を覚えてもらう」
木箱から三種類の植物を取りだし、長机の上に一列に並べる。
1.青葉草(Eランク)
丸みのある葉を持ち、軽く揉むと爽やかな香りがする。
「傷薬の材料として需要が高い。ただし、似た毒草があるから、葉の形で判別しろ」
2.香りキノコ(Eランク)
白地に淡い茶色の斑点。
「食用だが、折れると独特の甘い香りがする。折れないとただのキノコだ」
3.赤斑キノコ(Dランク)
毒性が強い。素手で触るとかぶれる。生食はお腹を壊すが焼くと毒性が無くなる。
毒性が強いため素手で触れないよう、教官は布越しに掴んでみせた。
「依頼が多い。だが素手で触れるとかぶれる。採る時は"下からそっと"が鉄則だ」
新人たちがメモを取り始める中、リノは熱心に頷きながら教官の手元を注視する。
リノは森で採取経験があるため、説明が自然と頭に入ってくる。
次に教官は道具袋を掲げた。
「採取の基本は三つ。一つ、"根を残す"。薬草は根を残せば再生する。依頼でも"葉だけ"でいいものが多い。二つ、"潰さない"。素材は新鮮さと形が命だ。特にキノコは傘が割れると価値が一気に落ちる。三つ、"袋を分ける"。毒性のあるものと、食用や薬草を同じ袋に入れるな」
教官が下から出したのは、実際の採取バッグ。内部は三つに区切られ、それぞれに魔法の簡易冷却が施されているそうだ。
「あと、初心者がよくやるのは"採取しすぎて持ち帰れない"だ。欲張るな。命は荷物より重いんだからな」
リノは胸の前でぎゅっと拳を握った。
(私はマジックバッグに見せかけて、普通のカバンから出してる……気をつけないと。)
教官は最後に、森でよく見る危険植物の簡単な特徴をまとめて説明し、短くまとめた紙を配って確認を取った。
「よし、採取説明はこれで終わりだ。質問は後で受ける。次は安全講習に移るので長机に集まり休憩するように」




