第十二話 いざ冒険者ギルドへ~ギルドカード発行~
中央通りを進むと、通りの突き当たりに大きな二階建ての建物が見えてきた。
石造りの外壁に、剣と杖を交差させた紋章--冒険者ギルドの象徴だ。
重厚な木の扉を押し開けると、暖かい空気と人のざわめきが聞こえた。
木と革の匂い--。
リノは緊張で喉を鳴らしながら、受付のカウンターへ向かう。
「次の方どうぞ〜」
声をかけてきたのは、栗色の髪をまとめた優しげな受付女性だった。
「冒険者登録をしたいです」
「はい。冒険者登録ですね。こちらへどうぞ」
受付嬢は小さな青銅の板を取り出した。
「まず、このカードに指先から少量の血を垂らしてください。本人識別と魔力の紐付けに必要です」
針のような器具を手渡され、リノは一瞬だけ息をのむ。
「血ですか……わかりました」
痛みは小さく、指先から赤い血が滲む。血は吸い込まれるようにカードに染み、金属面に淡い文様が浮かんだ。
「次に、必要事項をお書きください。必須事項は名前と年齢だけです」
リノはペンを持ち、静かに記入する。
・名前:リノ・クロカワ
・年齢:10
言語理解のおかげで文字も書けるようだ。
用紙を差し出すと、受付嬢はカードを奥に持っていった。
「はい、登録完了です。こちらがあなたのギルドカードになります」
差し出されたカードは、青銅の光を帯びていた。表には『リノ・クロカワ』の文字が刻まれている。
(本当に冒険者になれたんだ……!)
思わず小さく微笑んだ。
「次に、簡単にギルドの説明をしますね」
受付嬢は慣れた手つきで資料を取りだした。
「冒険者ギルドは、冒険者の活動支援と依頼の仲介を行う組織です。依頼は、採取・討伐・護衛・運搬などがあります」
「は、はい」
「あなたのランクはFランクからスタートです。ランクはFからSランクまであり、ランクアップには依頼の達成数と、ギルドからの評価が必要になります」
「……なるほど」
「初心者さんなら、まずは採取依頼がオススメですよ。こちらから選んでみてはどうでしょう?」
渡された依頼書には--『香りキノコ10個』『青葉草10束』『森蜜果10個』--リノが既に採取していたものの名前が並んでいた。
(……これ、私が持っているやつばかりだ)
「じゃあ……この三つの採取依頼を受けます」
「はい、受注完了です。提出、報酬の受け取りは依頼者用受付でお願いします。」
「わかりました」
こうしてギルドカードを受け取り、受付を後にした。




