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このゲーム唯一の農家です。  作者: Fûka


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24話





 翌日。


 とりあえず、光魔法のレベル上げをすることにした。


 今いる場所は初めの街の外の森。

 ただ、1番初めに通った森とは違う場所。

 反対側の門から出たところにある森だ。



 そういえば、気がついたことがある。


 「マップ」


 小さな声でそう呟くと、目の前に周辺の地図が出てきた。


 そう、このゲームにはマップ機能があったのだ!

 昨日このゲームについてネットで調べてたら出てきた!


 ……いや、マップ機能なんかほとんどのゲームにあるでしょ。何で気づかなかったんだろう……。

 いや、これは説明不足じゃない?

 こんなの、言われないと気づけないでしょ。

 他にも気付いてないことがたくさんありそうだ。


 そもそも、チュートリアルってあったっけ?

 多分、無かったよね?

 いや、一応あったのか。

 ただ、チュートリアルって言いながら職業選択とプレイヤー名の決定しかしなかった気がする…。

 今度運営の人たちと会う機会があったら、ちゃんとしたチュートリアルを設けた方がいいよって言っとくか。

 どうせ来月あたりには会うことになるだろうし。大会の打ち合わせとかで、ゲーム会社の本部?本社?に行かないといけないからね。


 それはさておき、スキルのレベル上げだ。

 この森には初めて来たけど、下調べはしてきた。

 出現するモンスターはだいたい5レベル前後で、たまに10レベルくらいのモンスターが出てくる感じらしい。

 つまり、ほとんど危険はないということだ。


 この森に来た理由は、光魔法を使いながら森を抜けて次の街に行き、ワープできる街を増やしたかったからだ。

 ずっと初めの街に留まるのもアレだし。

 道中の敵も弱いから、ちょうどいいと思ったんだよね。

 ……油断していると足を掬われかねないから、警戒しながら進もう。


 『光属性付与』を自分の手に使用して歩く。

 今の私は、両手をピカピカさせながら森を歩く不審者。

 何で両手を光らせてるのかって?

 光らせる面積が広い、または光が強い方がMPの消費が多くなるから、効率よくスキルを育てることができるからだ。


 両手だけじゃなくて、背中も光らせちゃおうかな?ついでに足と髪の毛も。

 いや、こうなったら全身光らせちゃおう。光らせる部位を指定するの、正直面倒だし。

 ぴかー。

 ……流石に眩しい。

 ゲーム内時間は夜だから、余計に目が痛くなる。


 ちょっと光量を落とそう。

 とか思ってたら、弱そうな気配が近づいてきて、茂みからガサゴソ音が。


 弱いモンスターってみんなこうやって音を立てながら登場するの?

 まぁ、ほとんどのプレイヤーが気配を感じ取るなんて芸当出来ないだろうし、しょうがないのか。


 多分モンスターが寄ってきたのは、私が強い光を発しているからだろう。

 多くの生き物は光を求めて行動するからね。

 それを証明するように、遠くからどんどんモンスターが近づいてくるのを感じる。


 ここを通るであろう初心者プレイヤーがこの状況に陥ったら、十中八九死ぬだろう。

 しかし、私は戦い慣れてるし、尚且つレベル43だ。

 下手なことをしない限り、死にはしないだろう。

 ……これってフラグですかね?


 ちゃちゃっと片付けますか。

 右手に鎌を持ち、振り下ろす。


 『モンスター『ラビットウサギ(レベル4)』を倒しました』

 『550ゴールドがドロップしました』


 またお前か!

 前のやつはレベル3で600ゴールドと肉がドロップしたっけ?

 金額とアイテムがもらえるかは確率で変わるのかな?


 いや、考え事をしている場合じゃない。

 右斜め前の木の上から、タイミングを見計らったかのように緑色のリスが飛びかかってきた。

 私はそれを後ろに下がって避ける。


 さて、どうやって倒そうか?

 リスは軽やかに地面に降り立つと、再び私に飛びかかってきた。

 もちろん避ける。

 普通に倒してもいいんだけど、どうせなら……。


 「キュッ!?」


 リスの鳴き声って「キュッ」なんだ。

 私は飛びかかってきたリスを素手で掴んだ。

 もちろん、左腕で。


 すると、左腕に鋭い痛みが走った。

 声を上げるほどではない。しかし、かなり痛い。

 リスが暴れてるわけではない。かなりの力で掴んでいるから、身動きできないだろう。


 しかし次の瞬間。


 「……ギューーーッッッ!!!」


 リスが、金切り声を上げた。

 それもそのはず、おそらくリスの皮膚が溶けている。

 私の左手から、シューッという何かを溶かすような音と湯気か煙のようなものが発生しているからだ。

 手のひらから、若干ドロドロした感触を感じる。

 リスは苦悶の表情を浮かべた。


 私はリスから手を離し、一思いに首を刎ねた。

 長く苦しませる趣味はないし、あの表情をこれ以上見ていたくなかったから。


 周りにいたモンスターは、リスの様子を見て全部逃げてしまったらしい。

 周りの安全を確認して、木に凭れかかる。


 思った以上に恐ろしいスキルだった。

 感触がリアルだし、表情が怖かった。

 だからといって、殺さないという選択肢はなかったけど。


 このスキルは、しばらく使わなくていいかな…。

 使うとしたら、比較的大型のモンスターを弱らせるために使う、とかかな?

 特に、プレイヤーとかにうっかり触っちゃったら大惨事になりかねない。

 ………でも、滅多に人に会わないし大丈夫かな?



※ずっと光ってます


ちなみに、ユキは痛くても声をあげてませんが、めちゃくちゃ痛いです。

大人でも泣きかけるレベルです。


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