19話
や、やったらまずい事だったのかな……?
信仰心がない人は『聖職者』になったらダメとか?
「……本当じゃ。サブ職業が『聖職者』になっとる」
「そんなことってあるのね…」
「怒ってる……?」
「いえ、少しびっくりしただけよ」
「メインの職業が『聖職者』の奴は結構おるが、サブで『聖職者』になれる奴はほとんどおらん。
条件が厳しいからじゃな」
そうなんだ。
私はその条件を満たしてたってこと?このゲーム始めたばかりなのに?
「条件は、神への謁見じゃな」
……いやいや、してませんけど?
え、神って運営のこと?いや、違うよね?運営とは直接会ってないし。
じゃあ、あのAI…?
わからん!
まぁ、聖職者になれたんだしどうでもいいか!
結果オーライ?ってことで!
再び腕と手に力を込めて…
べふっ
……まぁ、うん。ぺふっとした光の球から、べふっとした光の球に進化したね。
ぺふっとしたやつは大体半径5センチくらい?で、べふっとしたやつは半径……8センチくらいかな?
……進化したね!良かった!
……嘘です、良くないよ。思ったより進化しなかった。
やっぱり、努力しないと魔法を強くするのは無理なのかな?
そんなすぐに出来ることではないのか。
これから空いた時間で練習しよっと。
ステータスを確認した。光の球はMPを5消費するらしい。
MPが残り10しかなかったけど、おしゃべりしてたらいつの間にか全回復してた。
なので、またべふっとした光の球を出し、MPを使う。
そして、光の球を生み出すこと十数回、やっと光魔法のレベルが2に上がった。
良かった、もっと時間がかかると思ってたから嬉しい。
『光魔法(レベル2)
使用可能:光球(MP 5)
光属性付与(MP 10)』
お、この光属性付与ってやつ、植物の種にかけたら良いんじゃね?
って思ったけど、どうやら違うらしい。
使ってみたら、手がぽわっと光った。
……これ何の意味があるの?
お祖父様によると、これはかなり有用な魔法らしく、ダンジョンなどの暗い場所で武器を光らせたら冒険者の人たちはかなり嬉しいようだ。
まぁ、密閉した空間で松明使ったら危ないって聞くもんね。
というか……ダンジョンあるんだ!
「この近くにダンジョンある?」
「……ここの辺りにはなかったような気がするわ。
ただ、森を挟んでここの反対側には高難易度ダンジョンがあるって聞いたことがあるわ。
かなり昔に聞いたから、今もあるかは分からないけれど…」
「反対側…」
「あ、でも気をつけてね。
たしか、森の反対側は魔族が暮らしている土地なのよ。いわゆる『魔族領』ね。
もちろん魔族にも良い人はいるんでしょうけど、その、魔族は実力主義なところがあるから、喧嘩っ早いのよね…」
顔に手を当ててそう言うお祖母様。
なるほど、農地を挟んだ反対には魔族領があると。
魔族は喧嘩っ早い…イメージ通りだな。
だとしたら、農地から出てたどり着いたのがここで良かったなー。
反対側に行ってたら血祭りにあげられてた可能性あるんでしょ?
あ、その前に食料分けてもらえなくて死ぬかも。
良かった、お祖父様とお祖母様が優しくて。
ゲーム内時間で夜になり、「今日は遅いから泊まって行きなさい」って言われたのでご厚意にあずかることにした。
暗い中で森を進むのは危ないからね。絶対にこけると思う。
ついでに晩ごはんも一緒に食べた。
どうやらお祖父様は農業だけでなく畜産も行っているらしく、現実の高級肉と大差ない味の鶏肉を使ったローストチキンが出てきた。
めちゃくちゃ美味しかったです。




