表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/36

第三十一鎚 眷属竜と香辛料

ホロかわいい


この前言い忘れてたんですが、四月二十六日ごろに二十九鎚のステータス欄に関する変更を加えていました。

編集前では全く成長していないレベル19時点でのステータスを載せてたみたいで、感想欄で指摘されたから急ぎ修正したものを載せておきました。見てない人がいたら見てやってください……



 さてと。

 腕の中の触り心地のとてもいい物体を遠慮なく撫でながら、私はステータス画面を開いた。


 お次にやるのは、進化可能になっているスキルの確認かなー。


 指で空を切るようにして、ステータス画面を開く。

 進化可能になっているのは、鎚術と闘気と重武器片手持ちの三つ。割と最初期からあるスキル達で、私が基本的に一番よくお世話になっているスキル達だ。


 スキルの進化というのは、その既存のスキルの強化版あるいは最適化されたものの習得に他ならない。

 当然進化先は一つとは限らないが、進化という選択をすることで、基本的には上位互換が手に入る。

 しかし選択次第では、進化先がよりピーキーな性能のものになったりすることもあって、そこで生じるメリットデメリットが自分に合うかどうかで進化先を選択することになる。


 例えば今までのスキルが自分の思うようにいったりしてなかった場合とかには、自分のスタイルにもっと最適化したものを取ることになるね。


 さて、私は今の所そういった不便は感じてはいないわけだけれど……とりあえず進化先を見てみようか。


「まずは…鎚術からかなー。無難だし」


 《進化可能》の文字をタップすれば、攻略版とかで聞いていたような幾つかの選択肢が出てきた。



 鎚術 Lv.10《進化可能》

 正当進化:

 ・上鎚術

 ・重鎚術

 ・軽鎚術

 派生進化

 ・棍棒術

 ・棒術

 ・ハンマー術

 合成進化

 ・二鎚流

 (重武器片手持ちLv.10との合成)



 わお。

 見た瞬間取るものは決まっちゃったんだけど、まあ一個一個見ていこうかな。


 まず正当進化は聞いていた感じだね。

 上鎚術が正当進化of正当進化で、鎚術がそのまま強くなった感じのやつ。

 重鎚術が、鎚術のそれよりももっと重武器や巨大武器の扱いに長けるようになるもので、軽鎚術が軽い小槌見たいのとかをたくさん使う手数型になる進化。

 どれもあまり癖がなくて、使いやすいって感じかな。


 次に派生進化。

 名前の通り、鎚術ではどれも一緒くたに使えていた棒・棍棒・ハンマー系のそれぞれが枝分かれする進化。

 使える武器の範囲が狭まった代わりに、扱いにかかる補正が大きくなって、スキルのアーツもちょっとだけ性能がいいものになる……らしい。


 棍棒は私が初期に使ってたメイスとか、ゴブジェネが持っていた感じのザ・棍棒みたいなやつの扱い。

 棒術は……棒を操るスキルだよ。うん。リアルでも棒術なんてなかなか見ないものねー。

 一応魔術師の杖にもほんのちょっとだけ補正が入るらしいけど、魔術師の扱う杖は杖術スキルがあるからね……基本取ってる人はほぼいないらしい。

 ハンマー術はハンマー術。私は別にこれか、重鎚術とかでもいいんだけど……ねー。


 で、合成進化の二鎚流。

 これで決まりかなー。実は、剣術スキルでも両手に剣を持って長く戦ってる期間があると、剣術スキルが進化可能になった時に二刀流のスキルが進化先として生えてくることがあるってのは聞いてたんだよね。

 だから、薄々あるかもなー、って思ってたけど、やっぱりって感じだ。今の私に一番向いてるやつ。


 打撃系重武器の2本持ち専用スキルで、それ専用のアーツとか、いろいろ。


 あ、ちなみにこのスキルで重武器片手持ちを合成に使っても、レベルが5になって残るらしい。ありがたいね。



 そんな風にゆっくりとスキル欄を見ていたら、腕の中の茶々丸がもぞりと動いてこっちを見た。


「む……なにさ」

「キュウ」

「え?早く決めろって?」

「キュゥ〜」

「もー、仕方ないなぁ」


 そういうことで手っ取り早く二鎚流を選んで、さっさと次の進化できるスキルの選択にうつる。

 ちなみにスキル進化では、なんか別に特別な演出はなかった。

 さてさて、次は闘気のスキルだねー。これは別に私は特別な使い方はしていなかったけど、頻繁には使ってたし。



 闘気 Lv.10《進化可能》

 正当進化:

 ・覇気

 ・竜闘気

 派生進化

 ・専攻闘気

 ・専守闘気

 ・強化闘気



 あー、うーん、どうしよっかなー。

 選ぶなら竜闘気か覇気、もしくは専攻闘気なんだけど、どれも捨てがたい。覇気の方は闘気の一段階上って感じのやつで、使用MPが少なくなって、威力が上がるやつ。


 専攻闘気は、名前の通り攻撃専門になるんだけど……私結構攻撃以外のところでも闘気スキルは使ってるんだよねー。例えばエルデさんからの攻撃を防御する時にも闘気を厚くしたりしてたし、踏み込みの時とかも足に気を集めてたりするし。


 そして竜闘気は、これは人間以外の種族だとその種族に応じた進化の選択肢が生えるみたいです。獣族なら獣闘気とかねー。


 性能としては二次スキルの覇気とあんまり変わらないらしい。種族覚醒のときに闘気がちょっぴり扱いやすくなるくらいの変化しかないとか。


「キュウ」

「んむ……せっかちだなー、もう」


 んじゃま、取るのは竜闘気でいいかなー。せっかく竜の要素が入ってるんだし。

 パッと選べば、スキル欄の闘気の名前が変化した。これで用事は一通りおしまい。


 さて、それじゃあ茶々丸くん……くん?ちゃん?が待ち遠しくしているお外かな。

 すくっと立ち上がって、演習場の扉の前に向かって、扉を開ける前に、ふと気づく。


 あれ、こいつ、普通に外に出してもいいものか、なんて。

 多分私以外連れていないだろうし、あれだね、なんか色々言われたりとか……面倒くさいことになったりしそうだなー。


 やー、でも、それでこの子を外に出さないってのもアレだし……うん、そういうことなら、中途半端な策にはなるけど…


 そう思って、私は装備品の欄を操作する。

 ずっと首周りの動作の支障になるかもと思ってつけていなかった、砂漠蜥蜴シリーズの頭装備である、猫耳フード付きコートを取り出した。


 この装備、コートと銘打って入るけれど、裾の丈は腰よりも上で終わってる感じだ。ヒラヒラした感じで、服の下端にはもこもこした毛玉がついている。一式つければさらに可愛い。いいね。


「さて、茶々丸さん、ここに入っていたまえ」

「キュ」


 フードをおろして、空っぽの底に茶々丸をセットした。

 演習室の端っこにある鏡で確認すると、フードの中から首だけちょこんと顔を出している感じで可愛かった。


 別にちょこんと顔を出しているだけなら、特に竜とはわからないだろうし、見た人が普通に仔犬か何かと勘違いしてくれるかもしれないからね。

 まあ、バレたらバレたでいいけども。


「さ、行こっか」

「キュウ〜」




 演習室の扉を開けて、白の支配する外に出る。

 そういえば、まだこっちではご飯食べてないし、適当に何か食べながらブラムダスト砂漠特産の香辛料でも探そうかなー。


 なんでも、ラカの実とかいうものを乾燥させて細かくすりつぶしたものがよく使われているらしい。

 見た目はとても真っ赤。すごく辛いらしい。


 それとは別に、ラカの実そのものも欲しいかな。普通に料理で使いたいかも。

 香辛料を買ったら、他に防寒グッズを買ったりして、料理をしたらいよいよ龍骸山脈だねー。料理する場所は……うん、久しぶりにアインの街に戻って、『夕焼けの残り香』亭の台所でも借りよう。


「茶々丸は辛いのいけるのかなー?」

「キュウ?」

「そっかー、わからんかー」


 ちらちらと視線は集めるものの、茶々丸はそうそうガン見されるものでもなかったらしい。

 このゲーム、多種多様なモンスターがいるらしいし、テイマーの数もそれなりだ。私もこの機にテイムスキルでも取ってみようかなー?


「キュ!」

「きゃっ……なにさ、嫉妬?」

「キュ……」

「わかったよ、とらないでおく」


 他のテイムモンスターも欲しいな、なんてほんのちょっと思ったら茶々丸に怒られてしまった。

 出会ってからまだ数分だけど、早くも私はこの子の可愛さにやられてしまいそうだ。ていうかやられてるかも。もふもふ可愛い〜。

 そんな頭のとろけたような思考を挟んで、広場の端っこにある屋台の一つへと向かった。


「おじさん、ケバブひとつ……やっぱり二つお願いします」

「あいよ。お?今日は何だかもっとちっこいの一匹連れてんじゃねえか。ペットかい?」

「はい。可愛い相棒です!」

「ははは!そいつぁいい!一人の旅もいいが、それじゃあ計画通りが過ぎてつまらんこともある。人生の旅路には計画外がつきもので、旅の仲間はそのスパイスをもたらしてくれる一番の存在だからな」

「おおー……なんかいいこと言ってる…」


 そうだね、旅の仲間は、そんな旅の思い出を共有する仲間でもあるし。


「はっはっは!それはそうと、ラカの実をお求めなら向こうの市場のとこがおすすめだぜ」

「おー、ありがとうございます…ってなんでわかったんですか」

「なに、随分と暖かそうな格好をしているもんでな」

「あー、まあ。そうですね」


 洞察力がすごいなー…

 そんな陽気なおじさんの助言をもらって、私は言われた通りの市場の方へと向かった。


 時々チラチラと視線がフードの中に向けられているのがわかる。

 これ、茶々丸もそんなに身を乗り出すんじゃありません。珍しいのはわかるけども。ちょっと首が絞まるんですわ……

 あ、このケバブでも食べてなさい。美味しい?そっか、それはよかった。


 市場の、交易所?みたいなところに来れば、そのラカの実らしきものとその香辛料の粉は見つかった。

 実の方は乾燥させたもので、生のものじゃなかった。この実、乾燥させると辛味が強くなるらしいし、生のものも見てみたかったんだけど多分保存上の理由もありそうだし仕方ないかなー。

 というか、全体的に装いが異色だねー。ターバン巻いてたりするし、肌の色が黒い人が多い。多分砂漠の方から来た人たちなんだろうな。ドライの街もオアシスの街、って感じらしいし、こんな人が多い街なんだろうな。


 フィーアの街もだけど、楽しみだなー。

 砂漠といえば、ピラミッドとか、もしかしたらダンジョンみたいなのもあるのかなー?こういうのは初見で自分が抱いた印象を大事にしたいし、ネットとかで調べるのはやめておこうって私は決めてるんだよね。


 香辛料とラカの実。それぞれ、粉の方が一袋500Gで、実の方は一個200G。結構高いなー、なんて思ってたら、実はこれでも安くなった方らしい。

 近くのターバンを巻いた人に聞けば、なんでも、最近までは交易の道中に黒いモヤを纏った謎の(既視感満載)モンスターが出ていたらしく、安全のために交易の数を減らしていたらしいんだけど、最近はそういう奴らが減ったとかで交易が元に戻ったんだって。


 ふーん、怪しさ満点だね?

 そのモンスターたちが減った時期は多分、第一陣のトッププレイヤー、それこそジェイドとかたちが攻略を進めてツヴァイの街を通り過ぎたあたりからじゃないのかな?

 プレイヤーの数が増えると時期を同じくして、黒モヤが減り出す……


 多分プレイヤーたちが訪れる前はもっと黒モヤが蔓延っていたんだろうけど……それはつまり、その黒もやを生み出していた何者かが、そう言ったモンスターの出現数を操っていたんだろう。

 なんのためか?勢力保存か、それとも……


 何はともあれ、私はそのお店で香辛料を結構な量買って、広場の方へある転移門へと向かっていったのだった。




「キュ〜」

「ん?舐めてみたいの?いいよー」

「キュ〜………キュキュ!?!?」

「あっははは!じゃあ私も……かっっっっら!?!?」

「キュー……」




 しにかけた。

・tips


眠いのでなし

作者は最近阪神の調子がいいのでうっきうきです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] これ七匹同時召喚とかできるんかな? もし出来たらやけど、すっごい賑やかになりそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ