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第097話 山田もひどいにゃ


 夕方に家に戻り、キョウカが帰ると、モニカとミリアムが帰ってきた。

 そして、皆で夕食を食べ、モニカがお風呂に入りに行く。


「昼間は何してたにゃ?」


 ミリアムが膝の上に乗り、聞いてくる。


「キョウカが来てね。ルリと3人で車を見に行ったよ」

「あー、買おうかなって言ってたもんにゃ。というか、キョウカも連れていったのか?」

「意見が欲しくてね。営業の人は奥様って呼んでたけど」


 ルリを娘と思ったんだろう。

 どう見てもキョウカは若いと思うのだが、皆が言うようにそんなに興味がないんだろう。

 というか、突っ込んでこないんだろうな。


「ルリといればなー……否定しなかったのか?」

「しようと思ったんだけど、そうすると、説明が難しかった」


 同僚の女子高生とは説明できないし、他には思い浮かばなかった。

 だから否定もしなかったし、肯定もしなかった。

 キョウカは頷いていたけど……


「あー……確かににゃ。それで車はどうだった?」

「いやー、高いね。でも、買えない値段じゃないし、今後も儲かるだろうから必要経費だよ」

「ん? え? もう買ったにゃ?」


 まあ、その反応だよね。


「うん。勢いで……」


 三百万円のセダンを……


「まあ、いいけど……ルリとキョウカがはしゃいでいたか?」

「そんな感じ?」


 すごーいって言ってた。


「お前、キャバクラとかに行くにゃよ」

「行かないよ」


 俺、今日わかったけど、見栄を張るところがある。


「まあ、金はあるし、好きにするにゃ。釣りにでも行くにゃ! 私もついていくにゃ! 魚を釣るにゃ!」


 嬉しそうににゃー、にゃー言ってるなー……

 釣った魚を食べる気満々。


「キョウカも連れてけって言ってたね」

「あ、キョウカと行く時は言えよ。私は行かないから」

「なんで?」

「え? 理由聞く?」


 聞かない方がいいな。


「いや、いいや。来月の初旬には連れていってあげるよ」

「やったにゃ」


 うんうん、かわいい猫さんだ。


「そっちはどうだった?」


 夕食時にモニカにも聞いたが、特に何もなかったとは言っていた。


「何も。ただひたすら馬車の中でモニカと話すだけにゃ。暇にゃ。明日からはルリにタブレットを借りて漫画か映画でも見るにゃ」


 器用な猫さんだわ。

 宅配便のアニメでも見るといいよ


「明日だけど、3時くらいには戻ってきてくれない? 協会の仕事があるし、ついてきてほしいんだよ」

「わかったにゃ。そのくらいに帰るにゃ」

「お願い」


 明日の予定を決めると、モニカがお風呂から上がってきたのでルリにお風呂に入らせて、俺も入る。

 この日もいつものように過ごし、就寝した。




 ◆◇◆




 翌日の月曜日。

 昼間は家でゆっくり過ごし、3時くらいになると、ミリアムとモニカが戻ってきたのでミリアムを連れて、協会に向かう。

 そして、受付の人に鍵を受け取ると、地下の駐車場に向かった。


「……山田、秘匿しているけど、魔力を感じるにゃ。何かいるにゃ」


 肩にいるミリアムは小声でささやいたので思わず、足が止まる。


「ほう……」


 声がしたと思ったら柱の陰から黒い和服を着た女性が姿を現した。

 女性は20代に見え、まだ若い。


「どちらさまですか?」

「いや、申し訳ないですね。上からかなりの魔力をした者が降りてきたので気になったものでね」


 女性は少し笑みを浮かべる。

 目の前にいると、確かに魔力を感じるが、それでもあまり魔力が高そうには見えない。


「退魔師の方ですか?」

「ええ。こちらで雇ってもらっている退魔師です。ふむ……魔力を隠しているのですが、わかりますか……」


 女性は感心したように頷くが、格好が普通じゃないのでわかる。

 協会に真っ黒な和服を着た人がいたら退魔師と思うだろう。


「そうですか……私もですね」

「ふふっ、新人かな? 私は5級退魔師の加賀美オリエです」


 5級……

 月収300万か。

 すげー……


「どうも山田と言います」


 名を名乗ると、加賀美さんがぴくっと反応した。


「ふーん……山田ねぇ?」


 俺のことを知っている?

 いやでも、俺はこの人を知らんな。


「どこかでお会いしましたかね?」

「いや……山田さんはお仕事ですか?」

「ええ。チームで動いているので車で迎えに行くところですよ」

「そうですか。頑張ってください。では、これで……」


 加賀美さんはそう言って、こちらにやってくると、そのまま通りすぎ、エレベーターの方に歩いていく。

 他の退魔師さんを初めて見たなーって思いながら車に乗り込むと、学校近くのファミレスに向かった。


 ファミレスに着き、待っていると、キョウカがやってくるのが見えた。

 キョウカは笑顔でこちらにやってくると、車に乗り込んでくる。


「こんにちはー」

「はい、こんにちは。今日はキョウカが先なんだね」


 いつもユウセイ君が先に来る。


「あ、ユウセイ君ですけど、ちょっと先生に呼ばれたみたいで遅れるそうです」


 それは仕方がないね。


「何かあったのかな?」

「多分、進路のことだと思います。ユウセイ君、成績が良いのに大学に行かないですからね。先生的には進学してほしいんだと思います」


 あ、なるほど。

 それは確かにそうだろうな。


「キョウカはどうにゃ?」


 俺の膝に上で丸まっているミリアムが聞くと、キョウカがにっこりと笑い、手を伸ばしてくる。

 そして、ミリアムを捕まえると、自分の膝の上に乗せた。


「お姉ちゃんは何もないねー。逆に大学を受験するって言ったら呼び出しだろうね」


 成績か……


「大学って楽しそうじゃないかにゃ?」

「さあねー? 私はタツヤさんやミリアムちゃん、それとルリちゃんと一緒が良いよ……まあ、モニカさんも入れてもいいですけど」


 すごく不満そう……

 でも……


「いやさ、ユウセイ君を入れてあげてよ……」


 幼馴染だろうに。


「完全に忘れてました……悪いことしたな……反省、反省」


 ひっで。

 でも、キョウカでも反省するんだな………


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