表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/227

第076話 さあ、仕事をしよう……16時から!


 キョウカが襲来……いや、ウチに遊びにきた翌日、夕方まで時間があるのでコタツでぬくぬくとしながら魔法の勉強をしていると、スマホが鳴った。


「んー? 誰にゃ?」


 ミリアムが聞いてきたのでスマホの画面を見ると、桐ヶ谷と書いてあった。


「桐ヶ谷さんだ。ちょっと出てみる」


 そう言いながら通話ボタンを押す。


「もしもしー?」

『どうもー』


 桐ヶ谷さんだ。


「どうしました?」

『生きてるかなと思いまして』


 ん?


「なんでです? 普通に生きてますよ」

『一昨日、協会の者が例の魔法陣の件で橘君に電話をしたんですけど、いつも明るい橘君の声が異様に冷たかったらしいので』


 あっ……


「昨日、ウチに来ましたよ」

『どうでした?』

「刀が怖かったですね」


 普段は笑顔が絶えないとても良い子な分、ギャップがすごい。


『おやおや……まあ、一応、あの刀は人を斬ることはできないんですけどね』


 関係ない。

 怖いものは怖い。


「ちょっとフォローをミスりましたね。でも、昨日、ちゃんと説明しましたし、ユウセイ君にも電話しておきました。今日も会って話をします」

『まあ、アドバイスをしますと、山田さんはあの子達のことをまだ子供と思うかもしれませんが、あの子達にも子供の頃から退魔師の仕事をしてきた自負がありますからね。その辺を気を付けた方がいいですよ』


 経験談だろうか?

 この人も似たような家の人だし。


「気を付けます。子供とは思わず、大人として接した方が良いかもしれませんね。2人共、十分に大人ですし」

『それはそれで中々、怖い発言ですね。まあ、私は見聞きしなかったことにしますけど』


 どういう意味?


「変なことを言いました?」

『いえいえ……それよりも今日、一ノ瀬君と橘君と会うとおっしゃいましたけど、調査の仕事をするんですか?』


 はぐらかされた……


「そうですね。その予定です」

『でしたらお願いがあるんですけど、学校の方の調査をして頂けませんか? ほら、山田さんが学校にネームドの悪魔を呼び出した魔法陣があるかもしれないって言ってたじゃないですか』


 あー、言ったね。


「私達がやるんですか?」

『学校なら一ノ瀬君と橘君が詳しいでしょ。私達が知らない場所も知っているかもしれませんしね』


 確かに……

 いつも通っている学校だもんな。


「学校には入れるんです?」

『夜の8時以降なら大丈夫です。ダメなら他の調査員が行くそうですけど、どうします?』


 まあ、俺達で行った方が良いだろうな。

 他に手がかりもないから公園で張るだけだし。


「私達がやりますよ。2人もそう言うでしょう」


 2人も自分達が通っている学校だし、気になるだろう。


『わかりました。では、お願いします。魔法陣を見つけた際はすぐに連絡してください』

「了解です。じゃあ、夜に行ってきますんで」


 そう言って、電話を切った。


「まーた、夜の学校にゃ?」


 電話を聞いていたミリアムが聞いてくる。


「そうなるね……キョウカ、大丈夫かな?」


 この前は大騒ぎだった。


「恐怖心を失くす魔法があるにゃ」

「それ、大丈夫? いつ使うやつなの?」


 すごく不穏なんだけど。


「戦争とかかにゃー……」

「なしなし。キョウカに使ったらダメなやつじゃん」


 人斬りキョウカちゃん(狂)になっちゃう。


「じゃあ、いつもの役得スタイルにゃ。良かったにゃ」


 役得と思わないでもないんだけど、歩きづらいし、疲れるんだよなー。

 あと、刀が……


「刀を没収できないかな?」

「自分で言ってみるといいにゃ」


 断りそう……


「なんて言えばいいの?」

「抱きつかれた時に刀が痛いから刀を貸して」


 それ、普通に変態と思われないか?


「却下、却下」

「じゃあ、我慢するにゃ」


 うーん……ミリアムを渡せばいい気がしてきた。

 癒し系の猫さんだし、キョウカも恐怖心が薄れそうだ。

 よし、そうしよう。


 俺はミリアムを撫でながらそう決めると、魔法の勉強を再開する。

 そして、3時くらいになったのでミリアムと共に協会に行き、車を借りると、待ち合わせ場所であるファミレスの駐車場に行き、2人を待つことにした。

 そのまましばらく待っていると、この前と同様にユウセイ君が先にやってくる。


「お待たせ」


 ユウセイ君はやっぱり後部座席に乗り込んだ。


「学校、お疲れ様。改めてこの前はごめんね」

「いや、いいよ。キョウカの無表情が怖かったくらいだし」


 美人の圧は怖いもんなー。


「昨日、ウチに来て、馬乗りで刀を抜かれたよ」

「怖っ……修羅場じゃん。バイトで良かったー」


 怖かったわー。

 ルリとミリアムも逃げちゃったし。


「本当にね。あ、この子がミリアム」


 そう言って肩にいるミリアムを渡す。


「いや、知ってるよ……魔力を感じないなー。ただの猫」


 ミリアムを受け取ったユウセイ君がミリアムを抱えながら首を傾げた。


「普通の猫にゃ」

「普通の猫はしゃべらないんだなー」


 まあね。


「あ、キョウカも来たね」


 キョウカがこちらに向かって歩いているのが見える。

 キョウカはそのままこちらにやってくると、助手席に乗り込んできた。


「遅れてすみません」

「ううん。急いでないし、ゆっくりでいいよ」

「ありがとうございます……ミリアムちゃん、お姉ちゃんのところにおいでー」


 キョウカがそう言うのでユウセイ君の所にいるミリアムを掴むと、キョウカの膝に置いた。


「にゃー」

「かわいい! あと、温かい!」


 ミリアムは温かくていいよね。

 あと、地味に目のやりどころに困らなくなるので良かった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【販売中】
~書籍~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます!
[一言] 続けて読んでみてはいましたが、やっぱキョウカが嫌いになりすぎて読んでるのキツい。 やりすぎたことに対して何の罪悪感もない性格といい、登場するだけで不快になる…
[良い点] 私もキョウカちゃんの性格が嫌いじゃないです。むしろ好きです。ただ、モニカのキャラも好きですが(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ