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第074話 ドキドキ


 キョウカが馬乗りになって見下ろしている。

 正直、重くないし、どかそうと思えばできるのだが、それはやらない方が良いと判断した。

 別に女子高生が馬乗りになっているのが嬉しいとかではない。

 単純にキョウカが刀を持っているのが怖いからだ。


「えーっとね、残滓を感じたから追ってみたっていうのは言ったよね?」

「ええ、聞きました。私達を帰らせ、その後、一人で行き、桐ヶ谷さんを呼んだんですよね?」

「まあ、流れ的にはそんな感じかな」

「なるほど、なるほど……なんで私達には言わなかったんです?」


 キョウカが刀袋から刀を取り出した。


「えーっと、俺が気付いたわけじゃないんだよ」

「じゃあ、誰です?」


 そう聞くと、ミリアムがコタツから顔を出す。


「私にゃ」


 ミリアムがそう言うと、キョウカがゆっくりと振り向き、ミリアムを見た。


「にゃ!?」


 こちらからは見えないが、キョウカの顔を見たミリアムがビクッとする。


「私はタツヤさんに聞いているんだけど?」

「にゃ、にゃー……」


 ミリアムがおずおずと引っ込んだ。

 すると、キョウカが再び、見下ろしてくる。


「あ、ミリアムが気付いて、帰る時に聞いたんだよ」

「そうですか……何故、その時に連絡しなかったんです?」

「遅い時間だったからね。俺は何もないけど、キョウカとユウセイ君は翌日も学校があるじゃん。それにそんな遅くまで連れ歩くのは良くないなーっと」

「ほう? それで一人で行き、よりにもよって桐ヶ谷さんを呼んだ?」


 キョウカがついに鞘から刀を抜いた。


「まあ……」

「いや、桐ヶ谷さんを呼ぶのは良いんですけどね。どちらにせよ、協会の人間を呼ばないといけないのは確かですから」

「だよね」

「タツヤさーん、良くないねー……実に良くない」


 キョウカはそう言いながら刀を見る。


「何が?」

「チーム……仲間というのはね、信頼関係で成り立っているわけだよ」


 あ、人斬りキョウカちゃんだ。


「うん」

「ユウセイ君はわからないけど、私はあなたを信頼しているし、信用している。だからあなたの言うことは聞くし、命令にも従う。わかる? それはあなたがリーダーだから」

「まあ、そうかも?」


 あまりリーダー感がないんだよな。


「それでさー、そんなリーダーは私達に勝手な行動をするなって言った」

「言ったね……」

「なのに自分はいいのかい? 何か一言あってもいいんじゃない? まさか協会の方から先に魔法陣のことを聞くと思わなかったよ」


 確かに……

 リンゴの交渉のことを優先して、フォローを怠ってしまった。

 説明は木曜でいいかなって思ってしまった。


「ごめんね」

「まあ、タツヤさんがコソコソしているのはわかっているし、秘密が多いのもわかっているけどね。それでも、ないがしろにされる女の気持ちをわかってほしいものだよ」

「ちなみに、ユウセイ君はなんて?」

「俺ら、あのネームドの悪魔に手も足も出なかったし、仕方なくね? だそうです」


 あ、これはちょっとマズいわ。

 忘れてたけど、この子達は小さい頃から退魔師をしていたプライドがあるし、メンツを気にする子達だった。


「そういうのじゃないんだけど……」

「その説明が必要なんだと思うよ。私はどれだけないがしろにされても涙を流しながらついていくけど、ユウセイ君はどうかなー?」


 俺がすごい悪い男のように聞こえるし、キョウカが良い女っぽい……

 でも、君、涙を流すどころか、抜き身の刀を持って馬乗りになっているよね?


「ユウセイ君はバイト?」

「そうだね」


 ユウセイ君は後でフォローの電話をして、明日、話そう。

 今はこの子だ。


「いや、ミリアムは悪魔なんだよ」

「怖いねー。悪魔だって……ネームドじゃないか」

「えーっと、上級悪魔だけど、使い魔なんだよ」

「へー……何それ?」


 何それ……

 え?

 何だろう?


「ミリアム、使い魔って何?」

「そのまんまにゃ。人間が使役する悪魔にゃ」


 ミリアムがコタツから顔を出す。


「なんで使い魔をしてるの? 上級さんでしょ?」

「悪魔は人との契約で使い魔になれる。何かを要求する代わりに手伝いをするにゃ。私はジジイがご飯をくれるっていうからなったにゃ。あと暇だったからにゃ」


 適当……


「だそうだよ。俺も爺さんの跡を継いだばかりだから詳しくないんだよ。その辺のこともあって、説明が難しくて……」

「ルリちゃんは? あの子、親戚の子じゃないだろう?」


 そこもわかっていたのか……


「似てない?」

「血の繋がりを一切、感じないくらいにはね」


 やっぱり似てないかー……


「えーっと、ホムンクルス的な?」

「漫画で読んだことあるね」


 好きだもんね。


「ごめんけど、俺もよくわからない。でも、かわいいし、良い子だからいいかなーって」

「まあ、わからないでもないね……それにしてもタダシさんは想像以上にヤバいレベルの魔法使いだったのか」


 まあ、大魔導士様だし。


「説明をしようかなとも思っていたんだけど、ちょっと突拍子がなさすぎて難しいんだよ。俺自身も色々あって、まだ整理がついていないし」


 主に異世界のことだけど。


「ふーん、なるほど……じゃあ、これで隠し事はないね。私達、仲間だもの」


 キョウカがニッコリと笑う。

 どう見ても罠だ。

 だって、この子は例の扉に気付いているし。


「えーっと、まだあるんだけど、ちょっと待ってほしいな」

「待つ? つまり、いつかは言う?」

「今は例の事件が優先かなーっと。悪魔を呼び出すなんてちょっとね……ましてや、ネームドまで呼び出している可能性もある」


 まだ学校にあの魔法陣があったかどうかは確認していないが、可能性は十分にある。


「まあ、それもそうか……」


 キョウカが納得する。


「ね? 明日、ユウセイ君も交えて話そうよ」

「そうだね……」

「キョウカ、そろそろどかない?」

「重い?」


 重くはないけど、重いって言ったら斬られそうだな。


「いや、全然。ただ良くないよ」

「そうだね。制服を着た女子高生が男の家に上がり込んで上に乗っているんだから」


 ドキドキするね。

 主にその輝いている刀に……


「良い子だから降りようか」

「ふーむ……最後に質問いいかな?」


 キョウカがシュシュを取りながら聞いてくる。

 キョウカの髪がふわっと広がった。


「どうぞ」


 質問を許可すると、キョウカは自分の髪を触る。


「染めた方が良い?」


 ひえっ……


「金髪は似合わないと思うな。キョウカは黒が合ってるよ」

「ありがとうございます」


 元に戻ったキョウカは笑いながらそう言うと、俺から降りる。

 そして、コタツに行き、手を突っ込むと、ミリアムを引っ張り出し、抱えた。


「何か飲む? お菓子もあるよ」


 起き上がると、コタツに入っているキョウカに聞く。


「また、太らせようとするー……ひどい! あ、もらいます」


 キョウカが笑顔でお礼を言ってきたので立ち上がると、ルリを呼びにリビングを出た。

 そして、扉を閉じる。


「…………誰も金髪とは言ってないんですけどね」


 扉を閉じる瞬間、何かが聞こえた……


お読み頂き、ありがとうございます。

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いい加減ヒロインが不快過ぎて限界やね
他の人が言ってる通り本当に不愉快な話でした。 なぜチームというだけで全ての秘密を話さなければいけないんですか? ましてや家族や恋人でもまだない。 それに主人公は1か月でチーム解散のつもりで頼まれたから…
キョウカが不愉快で一度読むのを止めて 再度読み出してここまで来ましたが感想でも散々出てるのに まだこのヒロインずっと出るんですかね?需要無いにも程がある・・・
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