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第029話 絶対にダメ


 俺達は車に乗りこむと、飲み物を飲み、一息ついた。


「山田さん、強いな。本当に初心者か?」


 一ノ瀬君が身を乗り出して聞いてくる。


「初心者だよ。君達もさすがだね」

「まあ、俺達は子供の頃からやっているからな」

「私なんてまだまだです」


 橘さんが二重人格に見えてきたな。


「でも、これで大体、皆の実力はわかったね」

「まあ、そうだな」

「ですね」


 問題はないだろう。


「じゃあ、今日は帰ろうか。どうする? 家まで送っていくよ?」

「いや、協会の本部でいい。そんなに遠くないし」

「私もですね」


 え?


「近いの?」

「電車で一本だな」

「私も。マンションなんですよ」


 マンション……


「名家とか言うから道場とかがありそうな古風な一軒家かと思ってた」

「実家はそうだけど、俺達の家はマンションだな。学校から遠いし」

「うん。お父さんの職場からも遠いですから」


 まあ、都心はそうかもな。


「なるほどねー。じゃあ、協会に戻るよ」


 そう言って、車を発進させると、協会を目指す。

 帰りはそこまで混んでいなかったため、行きより早く到着した。


 協会に着くと、駐車場に車を停め、エントランスに戻り、受付に鍵を返した。


「次はどうしよっか?」


 俺達は協会を出ると、駅に向かって歩きながら今後の予定を話し合う。


「まあ、情報を見ながらかな? メッセージアプリで話し合おう」

「そうだね。私達は学校があるし、山田さんも都合や用事があるでしょうし」


 異世界村の仕事があるからな。

 村長だもん。


「そうしようか。1ヶ月の付き合いだと思うけど、よろしくね」

「こちらこそよろしく」

「よろしくお願いします」


 どうやら2人も俺を認めてくれたらしい。


 俺達はそのまま歩いていき、駅で別れると、それぞれの家に帰っていった。


 家に帰ると、ルリがご飯を用意してくれていたので3人で食べる。

 そして、ルリ、俺の順番で風呂に入ると、ルリに今日あったことを話した。


「へー……じゃあ、面倒な人はいなかったんですね?」


 2人共、ちょっと個性的なところもあるが、いい子だと思う。

 少なくとも、ぶつかることはなさそうだ。


「そうだね。とりあえず、3人でやってみるよ。ミリアムはどう思った?」


 一緒に行動していたミリアムに聞く。


「問題はないと思うにゃ。それにやっぱり特殊な魔法を使っていたにゃ。一ノ瀬は掌底を食らわせていたが、あれは衝撃魔法にゃ。橘は……まあ、見た目通りにゃ」


 見た目通りか……


「この1ヶ月で勉強になると良いんだけどね」

「まあにゃ。それと橘には気を付けるにゃ」

「橘さん? どうかしたの?」

「あの娘、私に気付いていたにゃ」


 え?


「本当に?」

「私が何なのかまでは気付いていないけど、お前の他に別の何かがいたのは気付いている様子だったにゃ。あの程度の魔法使いに見破られるわけないし、魔法じゃなくて野生の勘に近いと思うにゃ」


 野生……

 まあ、剣豪っぽい雰囲気もあったしな。


「気を付けておくよ」

「まあ、悪い奴ではないにゃ」

「猫好きだから?」

「そうにゃ」


 現金な猫さんだなー……


「タツヤさん、スマホが鳴ってますよ」


 ルリにそう言われたのでスマホを手に取ると、今日作ったグループメッセージからメッセージが届いていた。


 キョウカ:わくわく


 あ、猫の写真のことだ。


「ミリアム、悪いけど、猫好きが喜びそうなポーズをお願い」


 カメラを起動し、ミリアムに向けながらお願いする。


「こうにゃ?」


 ミリアムが仰向けで寝転がったので写真を撮り、メッセージに添付した。


 キョウカ:かわいい! 黒猫さんだ!

 山 田 :ミリアムって名前

 キョウカ:もっと! もっと!


「ミリアム、もっとだって」

「仕方がないにゃー……」


 ミリアムはまんざらでもない感じでポーズをしていく。

 その度に写真を撮り、送っていった。


 キョウカ:かわいすぎる!

 山 田 :うちの子はかわいいから


 キョウカ:この子、わかってる!

 山 田 :うちの子は賢いんだよ


 キョウカ:欲しい!

 山 田 :あげない


 キョウカ:この子が親戚の子ですか?


 ん?


 写真を送るたびに感想を聞いていると、橘さんが別の反応をした。

 何だろうと思い、先程送った写真を見てみると、あざといポーズをしているミリアムの横に呆れた顔をしているパジャマ姿のルリが写っていた。


 山 田 :そうだね

 キョウカ:かわいいですねー


 そう返信が来たのでルリにカメラを向ける。


「ルリー」

「何でしょう?」


 ルリはそう聞き返しながらもピースをした。


「かわいいってさ」


 そう言いながら写真をパシャッと撮る。


「タツヤさんもそう思われます?」

「思うよ。ルリはかわいい」

「そうですか」


 ルリはそっけなく返したが、口角が上がっており、嬉しそうだ。


 山 田 :ルリって名前。かわいいって言われて喜んでいる

 キョウカ:めっちゃかわいい!

 ユウセイ:お前ら、個人でやり取りしろ。グループでやるな。通知音がうるせーよ


 あ、ごめん。


 キョウカ:ごめーん

 山 田 :ごめんね


 そう返すと、すぐに橘さんから直接、メッセージが来た。


 キョウカ:ミリアムちゃんとルリちゃんのセットが欲しいです


 俺もその写真が欲しくなったのでミリアムを抱えるようにルリに頼み、写真を撮り、橘さんに送った。


 山 田 :ウチの宝物

 キョウカ:海賊王に私はなる!

 山 田 :あげないって


 この子、漫画好きだな……


お読み頂き、ありがとうございます。

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[良い点] 幼女と猫でJKを釣るおっさん
[良い点] ほのぼのしていて良いですね……!
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